starry☆sky de 零式パロディ〜青空颯斗の場合〜









「こんな感じですか?」

姫さんからフルート…とは少し違う横笛を手渡されて数分。普段はピアノに入れ込んでいる指に違う楽器が触れるのはなんだか変な感じで。持ち方とか可笑しくないですか?と聞けば、私もわかんないと笑い飛ばされてしまった。

「颯斗くんは笛だよね〜!うーん、清楚でいい感じっ!」
「、それは誉め言葉と受け取ってもいいのか複雑な言葉ですね」
「ぁ、酷い。誉めてるんだよう」

ぷぅっと頬を膨らませた姫さんが可愛らしい。ついつい虐めたくなる衝動が浮かぶけれど、加虐的な自分を見せるのが怖い。拒絶されたらと思うと内に秘めていたくなる。そんな考えを抑えて、先程浮かんだ疑問を打ち明けた。

「で、これはなんです?」

いきなり音楽室に来て、これ着て!で、これもって!と言われて今。星月学園のものでない服は、どこかの学生服を思わせる。

「所謂コスプレ、かな」

てへ、と言われてしまえば返す言葉がなくて溜め息。どうして彼女はこう…自分の理解の範囲を越えているんだろう。そこが姫さんのよさでもあるから強くは言えず、もうひとつ溜め息。

「どんなキャラクターなのですか?」
「へ?」
「この笛を操る主です」

この返しがくると思っていなかったのか、小首を傾げて間抜けな声をあげる彼女。こうなったら姫さんにとことん付き合ってあげよう。姫さんの興味があることは自分も知りたいし。

「あぁ!颯斗くんのはね、笛を吹いて音階で攻撃するの」
「ほう…」
「仲間のステータス上げてやる気にさせちゃったり、支援系かと思えば無属性攻撃はダントツでトップ君臨できる、攻防どっちもいける万能タイプだよ」

まるで生徒会にいるときの颯斗くんみたいだよね〜と笑いながら告げられる。万能、というのは一樹会長に相応しいような気もするが、そう思っていてくれているのは素直に嬉しい。自分の頑張りを評価してもらえるというのは、相手が自分を見てくれているからだから。

「、あ…でも」

姫さんは少し思案してからゆっくりと口を開いた。その一連の動作が美しく一瞬目を惹かれたがすぐにそれは打ち消された。

「マインドコントロール…みたいなのもあるかな。音を出して操って従える〜って感じっ」
「ミニ黒板を従えた僕、ということですか?」
「うんうん、一樹会長と翼くんを従える颯斗番長!」

番長…白銀先輩にそう呼ばれているのを姫さんに見られて以来、彼女はこうやって僕をからかってくる。番長はやめてくださいと言っても聞かないので手をやいているところだ。

「でも、颯斗くんはやっぱりピアノ弾いてる姿が一番素敵だな。笛も似合うけど」
「ふふ、ありがとうございます。笛もなかなか興味がわきました。貴女のおかげでね」

お礼を言えば嬉しそうに微笑む姫さん。この笑みに何人の男が掴まったのだろう…考えたくもない。醜い心が巣食う前に、気持ちを切り替えてしまう。そう考えて、僕はピアノに向かいながら姫さんに一言。

「貴女のために一曲弾かせてください」
「颯斗くんの演奏会?わーい!」

ぱたぱたとピアノの近くに寄ってくる彼女。僕の演奏を好きだと言ってくれる姫さんのために、一曲捧げたい。そっと鍵盤に触れながら、僕は彼女に微笑みかけた。






『開演します』





(やっぱりピアノだね)
(姫さんに聴かせたくて、気持ちを込めて弾きますからね)
(私もピアノの練習しようかな)
(笛を練習されてはいかがですか?ピアノと合わせると美しい音色を奏でそうです)
(ぁ、それいいね!)

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颯斗くんは笛。
黒板キーキーは封印しました…w

20120222




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