痛むのは…

※生徒会ヒロイン






痛みに耐えるのは
どうしてこんなに
辛いのだろう













生徒会室に入ると机に突っ伏す姫の姿。部屋の暖かさに居眠りか?と苦笑しつつ、最近あちこち走り回って忙しそうだったしな、という考えが浮かんだので声をかけるのは止めておいた。今日はそれほど仕事もない。颯斗と翼もまだ来ていないし、暫くは寝かせてやろうと決め込んだ時、姫がもぞりと動いた。

「あ、れ…一樹かいちょー…」
「なんだ、起きてたのか」
「うんー…」

気配に気付いたのか、姫は顔を少し上げ此方を少し見ると、へらっと笑った後再び机に顔を預けた。どこかぐったりしているような様子に、俺は姫の机に近付き目線の高さまで腰を降ろした。

「具合悪いのか?」
「ちょっとお腹痛いかも…」
「かもってお前…」

表情は見えない。声音から痛みに耐えている様子が伺えた。大丈夫か、と声をかければ平気、としか返ってこず、質問を間違えたなと舌打ちをする。姫は大丈夫かと聞かれれば、大丈夫だと返すに決まっているのに。

「ソファー使え、そんなところで丸まってても治らないぞ」
「……」
「ほら、」
「わ、ばかっ!」

返事をしない姫を無理矢理起こして抱き上げる。口では抵抗したが、痛みの方が強いのだろう、俺のジャケットをぎゅっと握り抵抗しなくなった。そのままソファーまで運んでやり寝かせてやる。

「毛布…は、今ねぇんだよな」

頭をがしがし掻きながら、手近に見えたブランケットを取りに行く。ジャケットを貸してやろうかとも思ったが、流石に季節的にYシャツ1枚では自分も風邪を引きかねない。会長席に掛けてあったそれを姫に掛けてやれば、姫がうっすらと目を開けた。

「なんかごめん。仕事しにきたのに」
「そんな心配すんな。いつからだ?」
「、放課後かな〜…」

授業中なら姫のクラスの世話焼きが放って置くわけがないなと苦笑する。東月錫也、月子の事だけではなく、姫の事も気にかけてくれているのは知っていた。放課後、彼に見つからないように来るのは大変だっただろうに。

「今日は一段と寒かったからな、冷えたんだろ」

お前スカートだし、とブランケットに隠れた部分に視線をやる。この季節に素肌を見せて生活しなければならないなんて、女というのはつくづく大変だ。生徒会長の権限で制服を改めさせようかとも考えたが、月子や姫のコアなファンに負けてしまう事は目に見えており、変えられるわけも無かったので諦めた。

「どしよ…なんか、ねむ…」
「寝とけ。今日はそんなに仕事もないからな」
「ごめ…」
「謝んなって。お前は無理しすぎだ」

申し訳なさそうな顔をするから頭を撫でてやった。それが気持ち良かったのか、姫はすーっと眠りに入っていく。腹痛の時は痛みの引き際に寝ておかないと、痛みだしてからでは寝ることも叶わない。あどけない寝顔を見つめながら、俺は空調を弄ろうと席を立とうとした。

「……?」

何かに引っ張られた気がして下を向くと、姫が制服の袖部分を握って眠っていた。無意識の行動なのだろうが、嬉しくなり口元が弛む。と、同時に、自分は姫にとってどんな位置にいるのだろうという不安にも駆られた。

「無防備だな…ほんとお前は」

もう少しすれば、颯斗か翼が扉を開くだろう。空調はその時変えてもらおう。今は、もう少しだけ姫の頭を撫でていてやろうと思った。











(気付いて欲しい、この気持ちに)
(でも、気づかないで欲しい)
(傷付けたくはないから)

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足が冷えるとお腹痛くなりませんか?
私はしょっちゅうなるので辛いです…

20120202




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