躊躇いは決意の表れ







暗い部屋。
もうお互いどれくらいそうしていたか分からない静寂を、ふいに姫が切り裂いた。

「…覚悟、出来たんだ」

声音からは姫の感情は読み取れなくて、俯いていた顔を持ち上げると、姫はぼんやりと窓の外を見ていた。

「そうか…」

それしか言えない自分。もっと気持ちを伝える手段も言葉もあるはずなのに、なにも言えなかった。この瞬間の為に用意した言葉はあった、しかし、いざ訪れた時にはあまりにも不釣り合いな言葉にも思えた。

「私でも…いいかな?」

姫の疑問には様々な意味が込められていて、きっとそれを分かってあげられるのは自分だけで…だから、俺は大きく頷いてやる。

「でも…なんて、言うなよ」

最初からお前じゃなきゃ、お前しか居なかったんだ。だから、こうして待ち続けた。
窓辺の姫に近付いて、一瞬躊躇ってからそっと身体を抱きしめる。ずっと触れたかった体温がそこにあった。






躊躇いは決意の表れ

(手に入れるのは簡単な気持ちじゃない)
(選ばれた者に課せられた、最初の決意)

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シチュとか全然違うのですが、某フォロワさんのごった返しているものが落ち着きそうで思わず…
ずっと心配しています…どうか、事がうまく運びますように。

20120721




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