逃げられない瞳







「ほらー、布団はいれよ。消すぞ」

パチン、と電気のスイッチを切る音。同時に部屋が暗くなって、一瞬何も見えなくなった。暫くすると目が慣れてきたのか、ぼんやりと物の影が見えるようになり、そうこうしていたら一樹さんが隣にきた。

「目瞑れ、眠れないのか?」
「ん〜、眠気はあるかな」

身体は疲れを訴えてるし、多分もう数分したら寝付いてしまうくらいには瞼が重たい。
でもそういう時って、くっついていたいというか、甘えたくなるわけで。

「一樹さんがおやすみのキスしてくれたら寝ようかな」

なんて柄にも無いことを言ってみたりして。

「冗談です、寝ま…っ!」
「……なにビックリしてるんだよ」
「だって…!」
「おやすみのキスだろ?」

誘ったくせに、とにやつく口元が悔しい。それすらかっこいいと思ってしまうのが更に悔しい。

「…眠気飛んじゃいました、もう…」
「ほう?計画通りだな?」

気付いたときには一樹さんは私の上にいて、真っ直ぐにこちらを見ていた。






逃れられない瞳

(見つめられるだけでこんなにもほら)
(貴方でいっぱいになる私)

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20120519




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