最果ての地であなたを想う







※誰得でもない。
※わかる人が本当に一部。






…もうどれくらいこうしているのだろう。
あの日、世界で一番大切な姫を失った。
周りからは、どちらも助かるのは無理だった、姫の分まで生きろ…なんて言葉を掛けられて、失った心でただ曖昧に笑うことしか出来なかった。

姫は死んだ。
事故だったと言うにはあまりにも受け入れられない事実。…死に掛かっていた俺を助けようとして失った命。
横たわる姫からは生気が感じられなくて、俺はただ泣いた。何を哀しんで、何に怒ればいいのかわからないくらいに、ただただ泣いた。
そうして泣き疲れた頃、疲労からか精神を来してか、気が付けば俺は意識を失ってしまった。

意識を失った先にある光。
もう戻らない姫との記憶。
意識の中の姫は確かに生きていて、あの屈託の無い笑みで笑い、バカにしたような口調で俺を弄り、寂しいと擦り寄ってきた。
なにも変わらない姫がそこにいた。

あの日、最後の瞬間まで…確かに聞こえた愛の言葉。それがだんだん自分の中から消えていってしまうのが怖かった。だから…

「…ずっと一緒に居ような。俺がお前を離すわけがない…離したりはしない」

ガラス越しに液体を覗き込めば、あの日から変わらない姫の姿。
腐敗するのを見る事に耐えられなくて流したホルマリン。
水の中に漬けているのは可哀想だとも思ったけど、元々人間は水に囲まれて産まれてくるんだろ?
だから姫も、もう一度息を返すまでこうして水の中に。






最果ての地であなたを想う

(もう逢えない、なんて信じない)
(だって…お前は確かに笑ってた)

----------------------------
ろずこさんへ♪
私が書くとやっぱり狂愛は…苦手だよ。
一部というか、ろずこにしか伝わらないねこれ。


20120517




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -