言葉は要らない







朝の柔らかな日差し。
カーテンの隙間から差し込むその明るさに目を開ければ、電気のついていない薄暗い部屋の輪郭がぼんやりと映った。

(あぁ…天井か…)

白いそれの正体が分かるまでにかかる僅かな時間。寝覚めは悪くない方だとは思うけれど、連日の仕事疲れからか身体は重い。まぁ、それだけではないけれど。
フッと、首を横に向ければ、姫のあどけない寝顔…があるはずだったのに、その顔は反対側を向いており見ることは叶わなかった。

「なんだよ、反抗期か…?」

寝起きの為か掠れた自分の声。
起き上がって寝顔を見てやろうと身体を動かせば、繋いだ手の存在に気が付いた。
いつ、そうしたのかは覚えていない。
姫を求めて抱いて、睡眠欲に支配される前が曖昧で思い出せない。
けれど、繋がれた手はしっかりと握られていて、無意識の行動なのに頬が緩んだ。






言葉は要らない

(見えない本音ほど嬉しいんだ)
(ほら…俺に顔を見せろ)

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事の真意は不明ですが、一樹さん的には「姫さんが手を握った→恥ずかしいからそっぽむいた」と思ってます。
あぁ…伝わらない…

20120514





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