旦那様とエイプリルフール〜不知火一樹〜
*不知火一樹の場合*
「一樹さんっ、外晴れてます!」 「そうか」 「お出掛けしたら気持ち良さそうですよ〜?」 「そうだな」 「お出掛けしたいな〜」 「そうか」
…一樹さんはさっきからずっとこの調子。なんでも明日までに必要な資料を作らなきゃいけないだとかで、朝からずっとパソコンとにらめっこだ。 お仕事の邪魔をしたいわけではないんだけど、久しぶりの休日なのに暇をもて余すのはつまらない。
「…お出掛けしてきます」 「そうか…、待て」
てっきり同じ返事を返されると思ったのに、一樹さんはパソコンから顔を上げて私を見た。仕事中に掛ける眼鏡がかっこいい。ぼーっと見とれていたら手招きされた。
「なんですか?」 「一人で出掛けることは許さない。今日はエイプリルフールだ、お前が変な男に声をかけられてついていったら困る」 「私そんな子供じゃないです…っ!」 「いいから…ほら」
近寄った私の腕を引いて、後ろから抱きしめるように椅子に座らされた。
(終わったら出掛けよう。それまでには12時を回るだろ?)
---------------------------- なんて過保護。たまたま入ったお店で嫁が口説かれないかまで心配してます…旦那バカ…
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