君に恋して、君への愛を知る
桜が綺麗な春だった。
「お散歩に出掛けましょう」
姫から提案されて、二人で出掛けた公園。社会人になってからは来ることが少なくなったそこは、学生時代によくデートをしていた場所だった。
「今年も桜、綺麗ですね」
桜の花びらが吹くなかで、髪を靡かせながら微笑む姫。お前の方がずっと綺麗だよ、なんて言葉は言えないまま口の中に噤む。伝えたら消えてしまいそうな儚さがあったから、言葉の変わりに腕の中に仕舞い混むように抱きしめた。
「来年も、再来年も…お前と一緒に見たいな」 「ふふ、私もです」
どっちが先に好きになったとか、どうして好きになったとか、そういうのはどうでもよくて、今この風景を姫と見られる。 その事実に胸が震えた。
「一樹さん、たこ焼き食べましょう!」 「…わたあめは食後のデザートだからな?」
二人して笑う想い出は、いつまでも色褪せない大切な記憶。 あの時漠然と描いた未来が確かなものになっていて、それが叶うまであと少し。
だから、ほら。 もう一度、今度は恋人じゃなく…家族として。 俺の全てを受け入れてくれないか?
君に恋して、君への愛を知る
(他人では在りたくない) (だってこんなにも…お前が大切だから)
----------------------------------------- たこ焼きとわたあめはCDから。 結婚秒読みなのもなかなか素敵です♪
|