お返しは何にしよう?
「それで桜士郎のやつが…って、眠いか?」
隣を見れば、うとうとと今にも目を閉じてしまいそうな姫の姿。時計はすっかりてっぺんを過ぎていて、つい話し込んでしまったのだと気が付いた。
「ぁ…ううん。だいじょうぶ」 「声が寝てるぞ」 「ねてないよー」
一生懸命起きていようと目を擦る仕草が可愛らしい。一緒に暮らすようになって、今まで見られなかった姫が沢山見られるようになって。けれども、それに比例するように忙しくなる仕事。こうしてベッドで話をするのは久しぶりだったから、姫も無理をしているのかもしれない。
「もっと一樹さんのお話聴きたいな」 「いつでも聴かせてやるから…今日はもう寝ろ」 「むー…じゃあぎゅーってして」 「子供みたいだな」
でも、嫌じゃない。 姫が腕の中にいるのは凄く安心するから。 そっと抱きしめると、俺の胸に頬を擦り寄せてくる姫。その表情が本当に幸せそうで、抱きしめる腕の力が強くなってしまった。
なぁ、本当に…涙が出るくらい幸せなんだ。 腕の中にお前がいて、こんなにも無防備に俺に全てを任せてくれて。 バラバラだった未来のピースが、少しずつハマっていくように幸せ象徴する。
「ヤバいな…」 「ん?」 「幸せ過ぎて眠るのが怖い」 「ふふ、へんなの。それじゃあ…」
俺の身体から少しだけ身を離して、視線をまっすぐぶつけると、「おまじないだよ」と言って、姫の唇が軽く俺の唇に触れた。
「朝起きても、私が隣にいるおまじない」
ふにゃりと笑った姫の顔。 あぁ、やっぱり好きだな…そう自覚せずには居られなかった。
お返しは何にしよう?
(貰ってばかりは悪いから) (せめて俺の全てでお前を愛そうか)
---------------------------------------------- たまには甘くなろう。 と思ったらいつも甘かった… 夫婦モノを少しずつお披露目していきますね。 沢山書いてますが、気恥ずかしくてなかなか公開できません…
20120512
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