クリーム王子と私
貴方との出逢いはいつだっけ? そう、あれは確か…
クリーム王子と私
先程から気にはなっていたのです。 急に友達と約束していた用事をドタキャンされて、行く宛のない私が行き着いたカフェ。前々からスイーツが美味しいと評判で、度々通ってはいたところなのだけど、今日はそのどの日とも違った風景が繰り広げられていた。
(あれはさすがに多いよねぇ…)
隣の席のテーブルを見つめながらぼんやりとそんな事を考えて、注文したミルクティを一口飲み干す。テーブルいっぱいのスイーツ…それを頬張る男の子。なんともアンバランスなのに、どこか調和のとれたその光景を横目に、私はもう一口とミルクティに口をつけた。
「…………」 「…………」
意識しなければどうと言うことはないのに、一度気になると気にせずには居られないのは私の性分で。
「それってお昼御飯ですか?」
気がつけば、見ず知らずの人にそんなことを聞いていた。聞かれた相手も聞いた私もびっくりだ。
「…む、いや…腹が空いたから立ち寄ったのだが…」 「じゃあお昼御飯を食べた後でその量を?!」 「まぁ…そうだな。どうかしたのか?」 「ぁ…いえ…」
まさかまともに答えてくれるとは思わなくて、しかしそれにうまく返せるほどの話題もなくて… それっきりフォークが食器に触れる音と、店内のBGMだけが流れる空間。 なんだか居たたまれなくなって、早くこの場から立ち去ってしまおう! そう決めた私は、ミルクティを一気に飲み干そうとカップを持ち上げた。
「お前こそ、ここにきてミルクティだけとは…変わっているな」
ケーキを食べる手を止めて、こちらを見ながらそう呟く彼。確かに、ここのシュークリームは美味しいと評判だし、一緒に頼めばよかったな…なんて考えていたら、隣の彼がシュークリームを差し出してきた。
「あの、これは…」 「よかったら食べないか?ここのシュークリームは美味いと評判なんだ」
私の心を詠んだかのようなその答えに、私は思わず吹き出してしまった。
「どうした、行かないのか?」 「ぁ…いく!」
私を呼ぶ龍之介の手に指を絡めながら、 出逢ったあの日を思い出して笑ってしまうと、僅かに龍之介の眉間に皺がよって… ぁ、怒らせちゃったかな?と顔色を伺えば、なんだ?とぶっきらぼうに一言。
「久しぶりにシュークリーム、食べたいなと思って」
貴方との初めての思い出を…そんな気持ちを込めて言えば、龍之介は口元を僅かに緩めて、
「では、ミルクティも一緒に注文しなければいけないな」
と、優しく笑うものだから、あの頃に戻ったかのような錯覚を覚えて、私は繋いだ手をぎゅっと握り返した。
----------------------------------- 一回打っていたものが消えてしまってしくしく… 加筆するかもです…
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