僕はキミ専用
譲らない、 譲ってあげない。 この場所は…
僕はキミ専用
夜、といっても日落ちの時間は過ぎ、漆黒が支配する真夜中過ぎにクラウドは帰ってきた。姫と暮らすようになってもう何年になるだろう。食事前にただいまを言えた数に苦笑し、また今宵も叶わなかったと落胆の息を漏らしながら扉を開けた。人の気配は、ない。
「部屋か…」
初めの頃は毎日帰りを待っていてくれた姫。ただいまをいう相手がいるのが嬉しくて、遅くまで帰りを待つ彼女を怒れなかったのはクラウドだ。住み始めて数ヶ月経った頃、仕事中に倒れたという連絡を受けたのはつい昨日の事のように感じる。それ以来、自責の念と共に彼女に休むようにきつく言うようになった。最初は姫も反論したが、やがて言葉の中にクラウドの自責を感じて、大人しく従い今日に至る。 クラウドは着ていた上着を脱ぎながら、彼女が居るであろう寝室に向かった。部屋は明かりが消えていて、ベッドに膨らみがある。その姿を見て、安堵した後クラウドは異変に気付いた。
(横に誰か…寝ている?)
布団から出ていないので確認は出来ないが、姫の横に誰か居るようだ。思い当たる節はない。クラウドの脳裏に嫌な考えが浮かぶ。所謂…不倫だの浮気だのといった、時間相応のもの。姫に限ってそれはないと思って頭を振るが、そういえば今日は帰れないと告げていたのを思い出して頭が痛くなった。と同時に、彼女に対して裏切られたやら許さないやらといった黒い感情が込み上げてくる。 クラウドはゆっくりベッドに近付く。布団を捲った先の事は考えていない、考えたくもない。
バッ!!!!!
「っぇ、え、なに…」
布団を捲ると眠っていた姫が目を擦りながら此方を見た。一瞬そちらに見とれるが、当初の目的を思い出して姫の横を見る。
「…え?」
思わず漏れた声。クラウドは唖然とした。何故ならそこに居た、基あったものは…
「まく、ら?」 「あ、うわ!見ないで見ないで!」
姫は慌てて布団の中にそれを隠そうとする。その、枕。クラウドが描かれた所謂抱き枕。疑問が浮かびすぎて次の言葉がでない。何故そんなものがここに、いやその前にその絵柄は…
「…レノがくれたの。」
クラウドの表情を詠んだのか、姫が口を開いた。なんでも神羅カンパニーの力をもってすれば、だの、感謝しろよ、だの言われたらしい。姫も寝起きで混乱しているのか、話に一貫性がない。
「大体分かったが…その絵柄は」
自分がプリントされたそれ。違和感というか、なんか嫌だ。そう尋ねれば姫は少し顔を紅くして、
「く、クラウドが隣に居なくても寂しくないようにって…」
とだけ呟いた。抱き枕を隠すのを諦めたのか、姫の手は止まっていて、隠しきれなかったクラウドが布団からチラリと見えた。
「一緒に住むのは凄く幸せなの。私の所に帰ってきてくれるから…でも」
貴方が居ない夜は寂しい、と消え入りそうな声で告げる姫。夜遅くまで待って居てくれていた彼女なのに、何故自分は気が付かなかったのだろう。好き好まなければ連日帰りを待つものなど居ないというのに。クラウドは姫をそっと抱き締めた。
「すまない、仕事を少し減らす」 「!そういう意味じゃないの…ごめんなさい」 「少し減らしても生活に支障は来さないさ」
我慢をさせて、ごめん。抱きしめる腕に力を込めれば、姫の存在をより身近に感じた。
「やっぱり、本物のクラウドがいい」
姫もクラウドを抱き締め返す。抱き締め返してくれる腕が愛しくて、嬉しくて、クラウドはそれを惜しみながらも口付けようとして、そっと身体を離そうとした。その時、布団から覗くそれと目があった。
「……」
布団から抱き枕を引き抜き豪快に部屋の隅に投げた。その行動にびっくりした姫が、反論の声をあげる前に、姫の唇はクラウドのそれで静止されてしまった。クラウドが姫を押し倒すまで、そう時間はかからない…
(よかった…) (ぇ?っちょ…っ!) (生き物じゃなくてよかった) (何言っ…、ぁ)
-------------------- なんかエロ書きたくなった。 しかし禁欲なう…。 抱き枕いくつ買うかで悩んでたから、実際に一つベッドに置いてクラウドの反応見てみた(*´▽`*) 冒頭会話文ないねごめん。
|