眠るキミに秘密の愛を















「…で、あるからしてこの図式は…」

トレイの言葉はまるで子守唄みたい…決して心地好くはないけど、聞いてるとなんか安心しちゃうんだよね。昔から聞いてるからなのかしら。

「…ケイト?聞いてますか?」

うんうん、聞いてるよ。トレイのちょっと怒った声は一度アタシを現実に呼び起こしてくれたけど、眠気が勝って再び夢の中。トレイのため息を付くのが聞こえたけど、意識はそこで途絶えた。









「…全く、よく眠っていますね」

トレイっ!やばい追試!とケイトが講義の教科書とノートを片手に、部屋にきたのがつい半日前のこと。聞けば明日追試があるらしいのだが、一人では勉強が捗らないので見てほしいと言うことらしい。
勉強する気があるのなら、と引き受けてケイトに勉強を教えていたのだが、先程最後のページに差し掛かったときに眠ってしまった。しかも机に突っ伏して。しかし応用問題だし、ここまで頑張ったのだから大丈夫だろう、と、いつもの自分なら考えられないような甘さを見せてしまった。

「ケイト…だから、なのでしょうか」

無防備な寝顔。小さいときからずっと一緒に育った大切な仲間。妹のようなそれを感じていたのに、いつからか彼女の中に女を見出だしそれを追うようになってしまった。
勿論ケイトには伝えていない。恋仲になったところでアギトを目指す自分達には、そのような甘えだのなんだのを実らせる事など無意味だからだ。
しかしそれは建前で、出来ることなら自分がケイトを幸せにしたい、という気持ちもある。この手に抱けたら、ケイトを自分だけのものに出来たら…

「、私は…なにを考えて…」

夜も遅い、自分も少し疲れているのだろう。早まる心臓の鼓動を抑えながら、ケイトの髪をそっと撫でた。小さい頃によくこうして眠れないケイトの為に色んな話をしたものだ。
ケイトがいつも好奇心をもって話を聞いてくれるのが好きで、あれこれ難しい本にも手を出した。思い返せば、あの頃からケイトには惹かれていたのかもしれない。

「……ん、トレ…」
「…起きましたか?」

ケイトを見れば瞳は閉じられたままで、寝息も規則正しい。寝言だったのだろうか?でも確かに今、自分の名前を…
無意識なケイトに反して高まる鼓動。

「煽ったのはケイトですからね…」

そっと彼女のこめかみにキスをする。でもそれじゃ足りなくて頬にも優しく。慈しむようにケイトを見れば、相変わらずの無防備な寝顔。
手を出して自分のものにしてしまおうか、と欲も湧いたれども、この寝顔を無くしてしまうのは惜しいと踏み留まる。
それにしてもケイトはいつもこんな無防備な寝顔を晒しているのだろうか?だったら少し周りを気にしておかなければならない。
この無防備なお姫様は、自分の身の危険など察することはできないのだから。















(キミに向き合うには
まだ少し時間がかかりそうだ)

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Twitterの。
こ、こんなんでよかですかっ!
鹿猪たんの漫画の後みたいなのになればよかったのに…

お題提供:確かに恋だった
20120224




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