この指は、もう震えない
抱き潰してしまいそうな華奢なマイを腕の中にとじ込めて、柔らかい髪にそっと口付ければふんわりと香るマイの匂い。 こんな風に触れちゃいけないってマイから離れて過ごしていた日々からは、想像もつかないような至福の一時。
「ウキョウっていい匂いするよね」 「え…そうかな。自分じゃわかんないけど」
むしろいい匂いなのはマイなんだけど、俺の服に擦りよって来る姿が可愛くて、それ以上なにも言えなくなってしまった。
どうしよう…本当に幸せだ。
それを実感させてくれるのはマイで、同時にわく罪悪感を許してくれるのもマイ。 マイは俺に甘過ぎるって思うけど、そのことをきちんとマイに伝えられないのは俺の弱さ。 好きな子には好きでいて欲しいし、無条件に与えられる愛情にどっぷりと溺れていたい。
「ねぇ、マイ」 「ん?」 「好きだよ」
腕の中にいるマイは、渡り歩いたどの世界のマイでもない『俺を愛してくれる』マイ。 少し顔を赤らめながら、私もだよと動く唇が嬉しくて、俺は言葉にならない情を込めてマイに口付けた。
この指は、もう震えない
(だってほら、そこにある) (伸ばせば絡まる君の指)
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20120924 お題提供:確かに恋だった
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