直接的で鋭利な恋
「ほら、早くしろ…バカ。靴ぐらいちゃんと履けよ」 「シンが急げっていったんだよ…?」 「だからって靴突っ掛けただけで出てくるかよ…バカ」
…また言った。 シンはすぐに私に向かって『バカ』って言葉を投げ掛けてくる。 小さいときは、マイ…マイってとトーマにくっついてる私にくっついてたのに、いつの間にこんなに憎まれ口を叩くようになったのかな。
「手、止まってるんだけど」 「…すいません」
慌てて紐を結んだら左右がちぐはぐになっちゃって、それを見たシンがまたバカって呟きながら、私の足元に屈んで靴紐を結んでくれる。
「女で靴紐結べないってどうなの」 「む…結べるよ!今のは慌てただけで……んっ!」
靴紐を結び終わったシンが、弁解しようとした私の唇を塞ぐ。 突然の事でびっくりして固まっていたら、ゆっくりとシンが離れて私の瞳をじっと見つめた。
「ごちゃごちゃ言わなくていいから、早く立って。あと、スカート履いてるならもっと気使えよ。見えてる」 「へ…っ」
パンツ、とシンの口が動く前に、私は立ち上がって恥ずかしさを隠すために、玄関の扉を開けた。 本当に、可愛かったあの頃のシンはどこにいっちゃったのかな!?
直接的で鋭利な恋
(貴方といるとドキドキしすぎて) (私の心臓が持たないよ…っ)
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20120924 お題提供:確かに恋だった
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