だって言えないよ







「シン…見えない…」
「まだ時間あんだろ、1時間に20個流れても3分に1個だぜ?」
「…詳しいね」

調べたに決まってんだろ…ばぁか。とは言えず黙りこむオレ。
流星が沢山見られるみたい!とマイが言い出したのは、バイト終わりの事だった。
そこからペルセウス流星群の事を調べて、絶対になにもしないからとマイを散々説得して公園に来たのは、今から30分ほど前。

「夏休みでよかったね。見られるまで夜更かしできるよ」
「おまえ、起きてられんの?」
「む…バカにしてる〜…」

いや、バイトの後だし疲れてるんじゃないかって意味だったんだけど、って…言い訳すんのもめんどくさい。

「……………」
「……………」

オレが反応を示さなかったことにより二人の間に静寂が流れる。
そうだ、天体観測をしに来たのだから空を見上げなくては…そう思い空を眺めるとうっすらと曇った空。
これほんとに見えるのかよ…と思った矢先、雲間にキラリと星が流れた。

「ぁ、見えた」
「え?嘘…空みてなかったよ…」
「あのさ、流星群見に来たんだろ?空見ないでどこを見るんだよ」

隣でしゅんとするマイに尋ねると、彼女は照れた様子もなくこう答えた。


「空を見てるシン見てた…」


「はぁ?」
「なんかシンの横顔がかっこよくて…」
「おまえバカだろ。いいから空見てろよ」

こくんと頷いて、空に視線を移すマイに内心ドキドキ。マイは時々、予想だにしない事でオレの理性を掻き乱してくる。
今日はなにもしない、そう誓ったはずなのに、指先がもうマイに触れたがっている。
空を見上げるマイの横顔…なるほど、こうやって恋人の横顔を見るのはなかなか悪くない。
決して明るくない光でうっすらとしか表情が窺えないのが尚更いい。

「…っ………シンっ!」

気付いたら、マイの頬にキスをしていた。
ビックリしてこちらを見るマイをぎゅっと抱きしめる。

「流れ星見えたら、なに願おうと思ったの」
「え……」
「ただ流星群が見たかっただけ?」

マイの願いくらいオレが叶えてやりたい。
そう思うオレはおかしいんだろうか。
少し間が空いて、マイがゆっくりと口を開いた。

「シンと、ずっと一緒に居られますようにかな…在り来たりだけど」
「そんなの流れ星じゃなくてオレに言えよ。星に願うよりもオレに言った方が効果ありそうじゃん」
「それはそうだけど…じゃあシンはさっき何お願いしたの?」

見えたんだよね?と、オレの目をはっきりと見つめてくるマイ。
この返しは予想してなかった。

「…願い事を人に話すと、叶わなくなるから言わない」
「シンがそんなの信じてるなんて意外だなぁ?」

攻守交代と言わんばかりに、オレをからかうように悪のりするマイ。
これ以上不利な立ち位置になる前に、状況を打破しよう…そう考えたオレは、オレをからかう唇をそっと塞いだ。






だって言えないよ

(言えるわけないだろ)
(オレも同じ事願ってたなんて)

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日頃話すシンの萌えポイントを凝縮…

20120812




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