04







起きたら雨だった。本格的に梅雨に入ったのだろうか。気怠い身体を起こせば、携帯のディスプレイに着信履歴が表示されていた。
誰かと思い携帯を操作すると、姫の文字。時間を見るとつい先程だったようで、俺は慣れた手つきで姫にダイヤルした。すると、隣の部屋から着信音がする。
なんだ…部屋にいるのか。そう思い携帯を持ちながら部屋のドアに向かっていると、電話が繋がって姫の声がした。

『…もしもし?』
「どうしたんだ、お前から電話なんて珍しいな」
『ぁ、ごめん。寝てるかなと思ったんだけど…ちょっと、』

姫はそこで言葉を濁した。何か言いにくいことなのだろうか。続きを待っていたら、外で雷が小さく鳴った。
眠っていて気が付かなかったけれど、外は雷雨で雨が激しく窓を打っている。

「…すげー雨だな」
『……っ』
「姫?」
『…ふっ、ぇ…』
「、お前…泣いてるのか?」

姫の返答も聞かずに、玄関のドアを乱暴に開けて隣の姫の部屋に上がり込む。
鍵をかけてないと不用心だとか、そんなことを気にする余裕も無かった。姫が泣いている…俺の脳はその事しか考えてくれない。

「姫…」

携帯を切りながら部屋に歩を進めれば、ベッドの上で涙を浮かべる姫の姿があった。






20120323
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