08
講義の後、調べものをしていたら遅くなってしまった。すっかり日の落ちた帰路を、俺は重い足取りで歩く。もう20時を過ぎてしまっているし、今日は姫との食事は無理だな…そう考えたら足が妙に重たかった。
「…………」
ふと上を見上げれば、たくさんの星。こうしてゆっくり星を見るのは久しぶりかもしれない。星月学園にいた頃はあんなに天体観測をして、いつも星空を眺めていたのに… 最近は地面か机上ばかり眺めている気がする。
降り注ぎそうな星を見上げながら、俺はマンションに辿り着いた。すると、部屋の前に人影を見つけた。
「なにやってんだ…こんなとこで」 「ぁ、おかえりー」
姫だった。朝とは違ういつものラフな格好。その姿に少しだけ落ち着いた。
「ご飯食べるんだと思って作っちゃったの。…もしかして外で食べた?」 「いや、まだだ。良かったら上がっていくか?」
部屋の鍵を開けながら、姫から晩御飯を受け取る。みた感じオムライスだろうか…ご丁寧にサラダとスープ付き。その辺のファミレスよりずっと凝っていて見目にも美味しそうだ。
「そういえば一樹の部屋って上がった事ないよね。ちょっと興味あるかも」
部屋の鍵かけてくるね!と言って、一度部屋に戻る姫を見送って、俺は先に自室へと足を踏み入れた。
20120326
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