願わくばそれが、愛でありますように
「一樹、これも解けない」 「お前は授業中なにをしてるんだ…」
生徒会室はいつから勉強部屋になったのか。 最初は会長席で書類をまとめていた筈なのに、いつの間にかソファーに座る舞花の隣に腰を掛けて、問題を覗き混む始末。 試験が近いから!と生徒会室に駆け込んできた舞花は、教科書やら参考書を机に広げて、さぁ教えろ!と言わんばかりにシャープペンシルを構えていた。
「真面目に授業受けてるよ」 「じゃあなんで解けないんだよ」 「なんで解けないか分からないから困ってるんじゃない」
…………。 返すのもめんどくさい。 決して頭は悪くない筈なのに、何故か勉強が出来ないのは多分要領が悪いから。 言ったら本人は怒るから言わないけれど。
「だいたい私これ習ったの一回目っ!一樹二回目っ」 「…俺だって留年したのは1年だから一回目だぞ…?」 「あ、そっか」 「そもそもこれ選択科目だろ?誉に聞け、誉に」
あいつの方が教えるのだって何倍も上手い筈だし、なにより試験前だから暇な筈だ。 そう思って提案したのに、舞花からの返事は予想外なものだった。
「一樹だから、教えて欲しいんだけど?」
その言葉の真意は分からなかったけれど、それがどれほど俺を喜ばせる一言か、きっとこいつは知らないんだろうな。
願わくばそれが、愛でありますように
(アプローチのつもりなら) (受けて立つんだけど) (言葉の真意や如何に)
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20120828
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