カミサマ、この恋を







「哉太…っ」

今にも泣きそうな顔の舞花。
そんな顔すんなよ、俺は大丈夫だって。そう言いたいのに、口元は痛みで引きつってるし、身体は錫也に抱き留められてるしで、全然説得力がない。
ほんと…情けねぇ。

「………っ」
「ねぇっ、痛むの!?」
「舞花、落ち着いて。話すのも苦しいんだと思う。哉太、少し安定したら保健室に運ぶよ」

いいね?とは聞いてきたけど、駄目とは言わせない視線だった。
錫也の気遣いはありがたかったし、今動くのは身体に負担がかかるのも分かるけど、舞花にこの姿を見られ続けるのは辛い。
こくりと頷いて、飛びそうな意識を手繰り寄せて、手を動かせばぎゅっと握られる感触。
それは紛れもない舞花のモノで、僅かに震えていた。

「大丈夫だよ…私はここだよ…」

大丈夫って言ってやりたいのは俺なのに、泣きそうな顔に笑顔を作る舞花。
そんな顔をさせたいんじゃないのに…
そんな顔しかさせられない自分がもどかしかった。






カミサマ、この恋を

(完璧に、なんていわないから)
(せめてもう少し)
(あいつを安心させてやれねぇかな)

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20120828




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