本気の恋は叶わないって、あの人がいったから
「初恋は実らない」
急に口を開いた舞花を見ると、彼女は至極真面目な顔をしていた。
「まぁ、よく言うな」
「でも大体は、綺麗な気持ちで恋できるのって初恋だと思わない?」
「手探りだからか?」
「それもあるけど、がむしゃらになれたり…なんだろう、真っ直ぐな感じかなぁ」
真っ直ぐな…か。
じゃあ、俺のお前への気持ちは初恋じゃないのかもしれないな。
だってこんなに入り組んだ迷路のようにして気持ちを隠して、綺麗な気持ちで舞花を見られたことなんてない。
いつだって心の中ではお前を穢している。
「初恋が実らないなら、本気な恋も実らないよね」
「…なんでだ?」
「だって、初恋以上に本気になれる恋なんてないよ」
それはお前だけだろう、と毒づいたのは秘密にしておくけど、さっきから尽く可能性を潰されているのは気のせいではないはずだ。
「じゃあ、試してみるか」
「?…なにを」
「好きだ」
本気の恋は叶わないって、あの人がいったから
(さぁ、答えを聞かせてくれ)
(イエスなら、さっきの言葉を撤回しろよ?)
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20120504