いい友達ずっと友達、残酷すぎて笑える
友達という関係は、近いようで触れるにはほど遠い。
「舞花、お腹空いたなら僕を見てないで購買に行ったら?」
僕の机に突っ伏した格好で前の席に腰掛ける舞花に一つため息。今はまだお昼には少し早くて、お昼でも分けてあげられるような物は何もないんだけど。
「梓、飴舐めてる…ずるい」 「…あぁ、これ?朝、宮地先輩に貰ったんだよ。限定の…なんだったかな、あんまりちゃんと聞いてなかったからわからないけど」
なかなかレアだから心して食べろとか言ってたような気もするけど、どうやれば飴を食べる好意を心して、何て事になるのかは謎だ。 僕が朝の宮地先輩の言葉の真意を考えていたら、舞花がバッと顔をあげた。
「っ、その飴!宮地先輩に貰ったの!ちょうだいっ!」
そう言うや否や、僕の口目掛けて指を伸ばしてくるものだから、慌ててその手首を掴む。至極当然のように、なにするのよ!みたいな顔をされたけど、それはこっちの台詞だしなんか色々間違ってる。
「あのさ、もう僕が食べてるんだけど?」 「私そういうの気にしないから!」 「そこは気にして欲しいな」 「ね、梓!飴!」
本気で言っているんだろうか。間接…とかでは済まないと思うんだけど。そもそもなんでこんなに宮地先輩の飴が欲しいのか。その答えはシンプルだし分かってるから言わない。だから代わりに、舞花の唇を塞いで飴を転がしてやった。
「…あ、梓っ」 「欲しかったんでしょ?飴が」 「だって!いま!き…き…」 「キスしたけど?」 「わぁぁいうなぁぁああ」
顔を真っ赤にする舞花が可愛くて口元が上がるのが分かる。でもさ、ここまでしても舞花には僕の気持ちなんて伝わらないんだ。 だって僕らは友達だから。
いい友達ずっと友達、残酷すぎて笑える
(指がばっちいからそのままあげちゃった) (頼むからそんな言い訳で納得しないで…)
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20120429
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