永遠なんてないけれど







「ぁ、桜…」

どこからか運ばれてきた、一枚のピンクの花びら。この間まで雪が積もっていたような気がするのに、季節が巡るのは本当に早くて…
なんだか私の気持ちだけが置いていかれたような…そんな焦燥感に駆られた。

ヒラヒラ…ヒラヒラ…

気が付けば桜の花びらが沢山舞っていて、私はその花びらが舞い落ちるのをぼんやりと眺めていた。

「姫、髪の毛桜まみれだぞ」

急に声を掛けられて振り向けば、そこには大好きな哉太の姿。太陽が眩しいのか、目を細めながら近付いてくる。

「え…うわ…っ」

髪に触れれば、私にくっついていた花びらが風に舞って再び空中を漂う。

「ぷっ…、ほら、ここもついてる」

ニヤニヤ笑いながら私の髪についた花びらを取り除いてくれる哉太。その距離が妙に近くてドキドキしてしまう私を知ってか知らずか花びらを取り終わると、哉太は私の隣にどかりと座った。

「で?なにしてんだよ、こんなところでサボって」
「哉太だってサボりじゃない」

そう、今は授業中…何となく授業に出る気分に慣れなくて、校舎を出てここまで歩いてきた。

「俺はいつもの事だからな」
「単位足りなくて、また夏休みなくなっちゃうよ?」
「そうならねぇように気を付けますよー」

ふぅ…っと息を吐いて哉太は寝転がってしまった。私はまた上を見て桜が舞う様を見る。こんなに綺麗なのに、どうしてこんなに切なくなるんだろう。

「桜ってさ、妙に感傷的になるよな…」

哉太を見れば、上から降り注ぐ桜の雨をぼんやりと眺めていた。私だけじゃなかったんだ、と安堵して息を吐く。

「そうだね、季節に置いていかれちゃいそうな気持ちになるなぁ」
「それでそんなに変な顔してんのか」
「へ…変って!哉太失礼っ!」

私が怒ってみせると、哉太は軽快に笑った。なんだかそれがおかしくて、つられて私の口元にも笑顔が浮かぶ。

「そうだ、その笑顔」
「ん?」
「お前はそうやって笑ってろ、出来れば俺の近くでな」

それだけ呟くと、哉太は目を閉じて睡眠をとる体制に入ってしまった。
ひらひら舞う桜の中で、鼓動が加速していく音だけが妙に響く。
願わくば来年も貴方と桜が見られますように…








(貴方となら信じてみたくなる)

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Mati様へ相互記念の小説です!
桜と哉太って私の中ではセットです。
桜の木の下でお昼寝してる彼はきっとすごく魅力的…っ!
相互ありがとうございますっ。
これからもよろしくお願いいたします。

20120403




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