「しっかりしてくれよリーダー!」

右耳に勢いよく突っ込まれたのは怒号だった。左耳にも例によって同じものが突っ込まれる。そして前から後ろから責任が投げつけられた。責任は俺に当たると音を立てて床に転がる。それに気づかないふりをして先へ進むと、責任を拾おうとしなかった俺に対する怒号がまた一回り大きくなって壊れそうなくらいに両耳を侵した。犯した。引き裂かれるのは鼓膜か精神かといったところで、どちらにせよ俺は渇いた笑い声をあげるしかない。鼓膜を裂かれればその惨めでけたたましい自分の笑い声を聞かずに済むのだろうか、ならそれもいいと思った。暗闇の中に細い糸のようなものが垂れていて、それを道標だと勝手に納得し、それに沿って歩く。この向こうに待っているものはなんだろうか。幸福で充実していた日々の残骸を右足で蹴り道の隅に寄せながら想像した。待ってくれているひとはいるだろうか、なんて稚拙なことばかり考えている。最近難しいことを考えるのを極端に避けていた。真横から、おまえは俺たちのヒーローじゃなかったのかよ!という叫びが届く。なんて身勝手な理想を抱き不相応な身分を与えてくれたものだろうか。ただの高校2年生に何ができると思っていたの。俺は走った。すると今度は無数の人差し指が静かに俺を指した。指の先についた目がぎょろりと俺を見て、あああ、なんておぞましい!
濃い霧がとにかくうっとうしくてしょうがなかった。何も見えないのは気持ちが悪い。けれど居心地がいいということも知ってしまった。とりあえず俺はただ黙ってテレビをつけながら今日も眠りにつくのだ。ああ愛してるよ世界!


12月24日
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