キサマも飲め。そう言って、親友である男の目前に赤い液体の入ったそれを差し出してみた。揃いの学生服を赤の先に見る。存外ヤツにその赤はよく似合った。ええ、とか何とか呟きながらも、成歩堂はオレの差し出す赤に手を伸ばす。じゃあ、一口だけ。そう言って受け取ったそれを口につけ、傾ける。先刻までオレが体内へ流し込んでいたその赤が、今度はヤツの口内を色づけている。どうにも不思議な感覚だった。燻るような、焦げ付くような、そういった燃えるような何かを腹の底に感じたのだ。
「美味い」
赤を流し込むのをやめると、そう言って成歩堂は微笑んだ。「だろう」と笑い返しながら、口端に残るぶどうの色を目で追う。
ああ、酔わされに酔わされ、オレの胸にはついに色がつけられた。どれだけ擦ろうととれはしない。それは一種の墨のように。あの日の友人の唇を、もういちど頭に思い浮かべる。そのまま網膜に刻むように瞳を閉じた。
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