スレイが上半身裸でベッドに横たわる僕の上に乗りかかって、優しく胸を揉んでいる。と言っても男の僕に女性のような胸なんてもちろん存在しないので、何が楽しいのかはまったくわからない。
「スレイ」
「うん?」
「楽しいかい?」
「ていうか、落ち着く」
僕の肌がスレイの手に溶けるように吸いついている。まるでスレイとひとつになりたがる自分を表されているようで、見ていて少し恥ずかしくなった。
「落ち着くのか」
「うん」
「どうして」
「うーん…なんでだろ」
スレイは首を傾げて笑った。その間も僕の胸を揉む手は止めていない。実はスレイがひとつ胸を揉むたび、僕も何故か自分自身を許されているような気になって、ひどく安心していた。けれど、言ってはやらない。
「好きかい?」
「ん?」
「僕の胸」
ははは、とスレイは少し困ったようにまた笑った。そして今まで触れていなかった僕の胸の突起部分を手のひらで覆いかぶす。
「まず、ちくびがさ」
手のひらが突起を転がすように上下して、つい息が漏れた。おとずれた甘い感覚を逃がすため眉間に皺を寄せる。けれどスレイはそんなのお構いなしに、今度は突起の周りを指にくるくると回らせた。
「赤くて、オレが触るとぴんって立ってくれるから、なんかすごく好きでさ」
それは君にいつも好き勝手触られるから敏感になってるんだ、と反論したかったが、今は好きに語らせることにした。こそばゆくて歯がゆい感触に頭が支配されていく。
「あと、肌が白くてすべすべしてて、触ってると安心する」
スレイは片方の手でゆっくりと肌を撫でた。その動きがあまりにも愛しさのようなものに満ちあふれていて、困ってしまった。もうどうにでもしてほしい、と本気で考えそうになってしまう。そのどうにでもの意図は、自分でもよくわからないけれど。
このまま時が止まってしまえばいい。そうすれば僕らはずっとこのままでいられる。時間が怖い。僕はきっと君に取り残されていく。
安心しきった顔で僕の胸に触れるスレイを見ているうちに、ようやく笑いがこみ上げてきた。母親にでもなった気分だ。
「なんだか今の君、赤ん坊みたいだね。母乳でも出そうか?」
「え、出るの?」
「…出ないよ」
そっか、と言ってまた笑う。その笑顔のためならこの身ぐらい捧げたっていいかもしれないとふと思った。今夜の僕は、なんだかおかしい。


BGM:おっぱい(スピッツ)
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