※ユリウスエンド
--------

「そうまでしてお兄さんを守りたいのね」
彼女のせつなげな言葉は俺の脳をつよく揺らした。その瞳は苦渋の中で細められている。そんな表情をされてしまうと、こっちは嫌でもわかってしまった。ああ彼女は俺を理解しているのだと。俺の、兄への気持ちにすら理解を及ぼした状態で、俺のことを止めにかかっているのだと。足元にこびりつく血は誰のものか。彼女が世界で一番大切にしていた人は誰だったか。俺だってそういうことはすべてわかっていた。けれど、もしかしたら、彼女ほど深く考えてはいないのかもしれなかった。それでも今はもはやそんなことは何一つ関係がない。俺は兄さんを守る。彼女は彼女の大切な「妹」のために、俺を止める。事実はただそれらだけだ。
ゆっくりと、その美しい姿に剣を向ける。彼女は眉をひそめて一度目を閉じたあと、強い意志を宿した瞳で俺を睨んだ。さあ、お互いの大事なもののために、命を懸けようじゃないか。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -