アフター1周目のその後
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夢を見る。夢を見るのだ。俺の過去に成り果てようとしている愛しい愛しい命が、終わってしまった愛おしい命が、成長した姿で俺の網膜を焼き尽くすのだ。この前は小学校の入学式で微笑むあの子、一昨々日は中学校の入学式で微笑むあの子、一昨日は高校の入学式で微笑むあの子、昨日は大学の入学式で微笑むあの子、そして今日、あの子は純白のドレスを大きくなったその身に当てはめていた。お父さん、男手ひとつで私をここまで育ててくれてありがとう。丹念に綺麗にメイクを施されたあの子は世界一素敵な笑顔を俺に向けるのだ。向けるのだ。俺は寝ることに恐怖を抱き始めた。だってこんなに息苦しい夢を毎晩毎晩見せられるのだ、このままだと気が狂ってしまう。存在しない幸せに満ち溢れた未来を見せつけられて、あの子に感謝までされるのだ。叱責が俺をどこまでもどこまでも追いかけ回しているのだ。この夢を俺に見せているのはもしかして、渚、おまえなのか。大切な子供ひとり守れなかった俺をこうして責めているのか。ああ渚、ああ、ああ!
古びたマンションを飛び出て深夜の道をひたすら走った。近所迷惑なんて考えられるような思考はあの子が死んだあの日に捨て置いた。走って叫んで泣いていた。そんなことをしても何も変わりはしないことなんて知っているけれど。俺は怖くて怖くて仕方がなかった。
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