夢を見る。おそろしく危うい夜が体を緩く包む夢である。世界は総て紫、何も見えやあしない。全く以て、不可思議な夢であった。しかしどこか馴染みがあるかのような、いっそ安心感さえ覚えうるような。ワシはわからんのだ。そこははてさて何処であろうか。きっと知っているし、この胸の奥底ではもうわかっているのだろう。だが微睡みに放り出された我が意識は理解することを許さん。世界は紫、夜は緩く、しかし射止めるよう体を包む。生かそうとする手ではないことはわかるが、殺めようとする手とも言えん。ただ毎夜の如くそうしている。それの影響だろう、近頃は安らぎを持ち合わせて寝床につくことができない。その夢を見たくないとは言わずとも。悪夢とは言わずとも。朝、体を起こし気づくのだ。滝のような汗に。なんだろうか。なあ、なんだろうなあ。紫を想いふと笑った。やはりワシは気づいていたよ、とうの昔にな。そうでなくては、おまえらしくないというものだ。死してなおワシの相手をしてくれるか。全く以て、執念とは恐ろしいものだな。「久しいなあ、」
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