JAM | ナノ
 



(奈緒視点)



中学生の時から何故か国語は好きになれなかった。
登場人物の心情なんて知らないし、分からない。
だから今日の授業はサボろーっと!


久しぶりにお気に入りのサボり場所である中庭に向かう。
大きな木々の木陰になっているその場所はひんやりと涼しく、ぼんやりするには最適の場所だ。
いつもは誰も居ないはずのその場所に珍しく先客が居たので、思わずその人物に声をかける。



奈緒「……あれ、仁王じゃん。珍しいね、ここでサボってるの。今日は屋上でお昼寝じゃないんだ?」


仁王「今日はちっと屋上にはいけんくってのう。もし、行ったら幸村に後で何言われるかわからんぜよ」



ニヤリと笑う仁王になんだか背筋がゾクリとする。
やっぱり、彼は顔立ちが整っていてかっこいい。
仁王に特別な感情なんて抱いたことはないが、やはり彼がモテるのは分かる気がした。



奈緒「あ、ゆっきーか。それはダメだね」


仁王「そうじゃ」



屋上、ゆっきー、そして仁王が立ち入れないとなると、ゆっきーは七瀬と二人きりらしい。
ゆっきーがなんであんなに七瀬にベタ惚れなのか知りたいから、早く七瀬に二人の出会いを思い出してほしいなぁ。



奈緒「ねぇ、仁王は七瀬とゆっきーがどうやって出会ったか知ってるの?」


仁王「いや、俺もよう知らんぜよ。でも、幸村があんだけ七瀬に執着するってことは、よっぽど衝撃的な出会いだったんじゃなかと?幸村はあんまり人に執着せんからの」


奈緒「でも、それだったら七瀬が覚えてないのはなんでなのかな?」


仁王「さぁ、なんでじゃろな……」


奈緒「不思議だよね……」



二人は何も分からないフリをしながらもきっとどこかで分かっていたと思う。
"あの時期"とゆっきーとの出会いは被っているんじゃないかと。





 






 
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