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大学生ムッドと中学生トリアちゃん



 家がとなり同士ということもあってか、俺の家とアルトリアの家は仲がよく、彼女が幼稚園、俺が小学生の頃から付き合いがある、いわゆる幼馴染みであった。
「でぃるむっど! あそぼう!」
 幼い子特有の舌足らずな発音のときから呼び捨てであるので、そう呼ばれるのが当たり前の日常は変わらず、彼女が小学生になり、俺が中学生になっても変わらず付き合いは続いていて、俺が高校生になっても、大学生になっても、彼女は変わらず俺の部屋に遊びに来ては、よく遊んでいる。
「なあ、アルトリアは来年中学生か」
「そうです、わたしは中学生です」
「光陰矢の如し……」
「それはなんですか?」
 時が経つのは早いなあということだと言いながら、頭を片手でわしっと掴むと、アルトリアは楽しそうに笑った。
「ディルの手は大きいですね!」
「お前の頭が小さいのでは」
「いえ、クラスの男子たちの手よりも、ずっと大きいです」
 小学生と比べられるとはなあ、思わず苦笑する。そういえばなぜアルトリアは、クラスの男子の手の大きさを知っているのだろうと思った。
「学校の運動会で踊るフォークダンスを習っているのです」
 尋ねるまでもなくアルトリアがそう言った。ああなるほどと思った。
「そういえば俺も踊ったな。懐かしい」
「ディルは女子に昔から人気があるから、たいへんでしたか?」
「いや、……まあ、はは」
 笑って誤魔化すしかできない。
「毎年運動会らへんになると、好きな人に告白する人が増えると聞きます」
「アルトリアも何か起こるんじゃないか? 楽しみだな」
 笑いながら言うと、わたしには関係のないことですと胸を張ってアルトリアは答えた。しかし、彼女の思いに反して、フォークダンスののち、小さないざこざのあったらしい彼女は、それ以来少しだけ変わった。





「この部屋、久しぶりです」
 あれ以来、アルトリアは家に来ることはしばしばあっても、忙しいだとか言って、俺の部屋にあがることはなくなっていた。中学生になり、ばたばたしていたらしい彼女はようやく落ち着いたと言って、今日、俺の家で夕食を食べると、久方ぶりに制服のまま俺の部屋へやってきたのである。アルトリアは俺の部屋を、ぐるりと見回した。
「……本が増えましたね」
「そうだな」
 言いながら本棚から適当に一冊の本を取り出し、ぱらりとページを繰る。
「面白かったですか」
「ああ」
「そうですか」
 アルトリアは頷いて、本を元に戻した。
「他は、何も変わっていませんか?」
「見た通りだ」
「ふふ」
 アルトリアは笑ってから部屋に立ち尽くしているので、座ったらどうだと言うと、おずおずとベッドに座った。俺は勉強机の椅子に座っている。
「……ディル、聞いてくれますか」
「ん? いいぞ」
「わたしは……」
 何やら思い詰めた顔をして、アルトリアは俯いたが、そのまま話し出した。
「少し前、フォークダンスの話をしましたよね」
「ああ」
「わたし、男子にとって、男子と同じようなものだと思っていたのですが、違ったみたいで」
「うん」
「わたし、告白されたのです、フォークダンスの後に」
「クラスの男子に?」
「はい」
「そうか」
 俺は知らぬ間に顔をしかめていた。アルトリアは俯いたままである。
「わたし、ちょっと驚いてしまって」
「驚いた?」
「はい、わたしが、まさか……」
「…………」
 俺が返事をしあぐねていると、アルトリアは顔を上げた。華奢で、目の大きな、美しい女の子。年齢は関係ないと思った。どうしようもない。アルトリアだからこんなにも、この場の空気が張りつめる。きっと彼女に幼い思いを告げた男も、俺と同じ思いをしたのだろう。
「……お前は、幼馴染みの贔屓目を除いても、可愛いと俺は思うぞ」
「本当ですか」
「ああ、改めて言うのも、変な話だが」
「……嬉しいです」
 アルトリアは頬を両手で押さえると、俺の方を向いて、遠慮がちに笑った。
「となりに来てください、ディル。昔みたいに、頭を」
 あの頃。半年ほどしか経っていないのに、ずいぶん昔のことのように思える。アルトリアのとなりに座った。そうして、少し乱暴に頭を掴むようにして撫でてやったら、本当に嬉しそうに笑ったので、まずいと思った。
「……なあ、もう夜だぞ、家の人に、心配されないのか」
「わたしがディルの家にいることを知っています。心配なんて誰もするはずがないでしょう」
 そう言って俺の肩に頭を凭れさせてくる。微かな重み。これは、まずい。まずい、まずいまずい!
「ディル、わたし、あの……」
 こんな幼い子どもに、俺はおかしいのかもしれない。だが気付いた瞬間には、アルトリアをベッドに押し付けて、唇を塞いでいた。貪るように小さな唇を抉じ開けて、舌を差し込む。手のひらを握るようにして、舌を動かしたら、アルトリアも応えるように懸命に、俺の舌を受け入れようとした。たまらなく愛しい。俺はおかしくなっている。空いた手で彼女の頬を撫で、少し顔を離すと、瞳をじっと覗き込んだ。アルトリアが泣きそうな顔をした。
「ディル、わたしは、この行為が、どういう意味をもつのか、知っています。おねがいです、どうかきらわないで……」
 嫌うなと言うべきなのは俺の方だと思った。言葉では何も返さず、また口付ける。顔の角度を何度も変え、時々アルトリアの口から漏れる声に煽られながら、舌を絡めた。唇を甘噛みして、漸く口を離してやると、すっかりアルトリアは目をとろかせているように見える。
「……ディル」
 何か言葉を紡ぐのを恐れている俺がいる。アルトリアの頬や額に何度もキスをしながら、制服の上から直に、胸元に触れた。白いセーラー服越しに、うっすらと透けて見える水玉模様。その下にある微かな膨らみに浅ましくも興奮し、強めに撫で擦ってやると明らかに感触の違う一点がある。下着をつけていないということに驚きつつ、服の上から爪でかりかりとその一点を掻いてやると、荒い息を、アルトリアは吐いた。
「そこ、なんだか、……あ、う」
 なにが大丈夫なのかわからないが、大丈夫だと俺は言いながら、制服の裾から手を差し込み、捲り上げる。アルトリアの肌が露出した。真っ白な陶器のような肌。彼女は恥ずかしがって顔を背けた。
「ひっ……あ、あ」
 アルトリアの肌の中で浮かび上がる淡い色をした乳首、に唇を寄せると声を出した。舌先で小刻みに舐めてやると息を荒くする。吸い上げると体をぴくりぴくりと震わせた。片方の乳首も、指先で捏ね回してやると、とうとうアルトリアは俺の頭を掴んだ。
「わたし、だめです、それ、へんっ……」
「じゃあ、違うところを」
 アルトリアの胸元から顔を上げると、俺は、いきなり彼女のスカートのホックを外し足から引き抜くと同時に、下着も取ってしまった。
「ディッ……!」
 戸惑った声を出したアルトリアを無視して俺は、舌先をすっと割れ目に這わせた。きたないです、きたないからやめて、とアルトリアが頭上で言っている。だが、割れ目を丹念に舐めてゆき、陰核を啜ったら、アルトリアは悲鳴を上げて足を閉じようとした。無理矢理開かせて、俺は続ける。
「あっ、だめ、アッ、アアア」
「……声、抑えないと、聞こえるぞ」
「!」
 彼女が自身の手で口元を覆ったので、声はくぐもったような小さなものになった。俺は指で濡れた陰核をくりくりと潰しながら、割れ目に舌を押し込み、中を舐める。じゅる、じゅ、と音が出た。アルトリアは息を荒くしている。どこもかしこも小さいなあと思った。俺は未発達な体を蹂躙しているのだ。
「ふっ、ううう、う!」
 アルトリアが突然腰をがくがくと痙攣させたので、もしや気をやったのだろうかと思った。顔を見るとくったりとして、目を閉じている。
「……アルトリア?」
 俺は自分の口の周りを乱雑に拭うと、アルトリアの顔にかかった髪を払ってやった。するとぼんやり目を開いて、あ、と溜め息のような声を漏らす。
「わた、わたし……あ、あの」
「ん?」
「ディル、わたしは、……知っています、だから」
 子どもの知識では及ばないことまでされてなお怯えず、純粋な瞳でアルトリアは俺の目を見た。俺たちはここで性交をしてしまうのだろうか。
「……無理はするな」
 こんな子どもに、痛いほど勃起している自分が情けない。俺はアルトリアに、俺たちがするのは間違っているのだ、と諭しながら体を離そうとしたら、ぱし、と弱々しい手で手首を掴まれた。
「間違っていない、わたしがしたいんです、ディルがいい、ディルが……」
 アルトリアがそう言って泣き出しても、俺は当たり前のように止めなければならなかったのに、大人になりきれず、彼女を組み敷いて、唇を重ねてしまった。
「わかった。いいんだな?」
 アルトリアが頷いたので、俺はできるだけ優しく口付けながら、陰茎を取り出すと、そのまま彼女の膣口に宛がい、数度擦り付けて濡らすと、と挿入した。じゅぷ、と水の音がする。
「っ……!」
 アルトリアは痛いのか、俺の下で呻き声を上げた。いや、痛くないわけがないだろうとは思う。異物を受け入れることすら厳しそうな、というか、あってはならないのだ、こんな小さな少女を押さえ込むなんて!
「ディル、い、あ……あっ」
「……無理するな、もう抜くから」
「だめ!」
 アルトリアが俺の背中に腕を回した。懸命に俺を引き留めるので、また俺は大人になることができない。
「あの、う、しばらくそのままで、……そのままでお願いします」
「それなら平気なのか?」
「はい、だから」
 アルトリアの言う通り挿入したまま、俺は動かない。しかし彼女を安心させようとして、しつこいほど口付けたり、胸を触ったりしていると、彼女の膣が時々俺をきゅうきゅうと締め付けるので、たまらなくなる。
「少し、動いていいか」
「……はい」
 ぬるる、と緩やかに腰を引き、ずぷずぷと膣を押し拡げて腰を進める。みちみちと肉を抉っている感触。
「い、う、うう」
「すまない、アルトリア」
 ぐすぐす泣くアルトリアの頭を撫でながら、そのままゆっくり抽挿を繰り返していたが、あんまりにも彼女の膣がきつすぎて、自身が抜けてしまいそうになる。アルトリアの身体自体は俺を拒否しているのだ。しかしよく濡れた彼女のそこは、彼女が辛くても、俺は気持ちが良くて仕方がない。
(……あ)
 血が出ているのに気付いた。かわいそうだと思ったが、アルトリアの一番は、一生俺のものなのだと思ったら、妙に興奮する。
「……ディル」
「どうした」
「……わたし、すこし慣れてきました、だから、もうちょっとはやく動いても、へいき……」
「いいのか?」
「はい」
 俺は彼女に甘えて、音が、じゅぽ、じゅぽ、と聞こえるほどの速さで、穿った。そうしたら、アルトリアが子猫のような高くて甘い声で、喘ぐ。彼女のそんな声がもっと聞きたくて、陰核に指先を伸ばして弄んでやったら、もっと滑りがよくなった。
「ア、アア、や、やあっ、だめ、それ、だめえ……ひ、イ、んんん!」
 アルトリアの腰が逃げようとするのを捕まえて追いたてる。彼女が弱いところを俺は探して、なんとなく反応の良さげなところを擦るように、彼女に断りもなく腰の動きを速めていた。どうしようもない。腰が止まらなかった。
「あっ、でぃる、や、しんじゃうぅ……」
「大丈夫だから、そのまま、お前はそのままで、アルトリア、」
 彼女をぎゅうと抱き締めると、俺は唇を重ねた。
「ん、うう、ん、………ふ、……!」
 彼女の、俺の背に回した腕に力が込められる。俺は頭が真っ白になって、そのまま彼女の中に、吐精してしまった。





 アルトリアに嫌われたと思った。初めは同意だったが、それを覆すほどのことはしてしまった自覚はある。彼女は俺の指で精液を掻き出されるときも、部屋に置いていたタオルで体を拭っているときも大人しくしていて、やはり取り返しのつかないことをしてしまったのだなと思った。
「……ディル」
 汗でべとついてはいるが、アルトリアは制服をきちんと着直すと俺に声をかけた。居たたまれない気持ちになる。
「すまない、アルトリア、俺は……」
 しかし彼女は俺に向かって微笑みかけると、また本を借りに来てもいいですか、と言った。俺がああ、と返事をしたら至極嬉しそうにした。
「ディル」
「ん?」
「大好きですよ」
 それだけ言い残し、すぐに部屋を出ていった。
(やられてしまった!)
 俺は追いかけてすぐにでも俺もだ、と伝えたい衝動に駆られたが、何故か足がすくんで動けず、そのまま頭を抱えた。




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