c | ナノ



 おぴんく注意報




 とうに知られているかもしれないが、こんなことをしていると知ったら、主はどんな顔をするだろうと思った。しかし今、その人の顔を思い出したら萎えそうな気がするので考えなかったことにする。
 俺の下でシーツを握り締めうずくまっている小さな彼女の肩甲骨をさすり、そのまま指先を脇の少し下に差し込みすこし強めに撫でてやったり、首筋に舌を這わせたりしてやると、ぴくんぴくんと反応した。こんなところですら性感帯になるのだなあとしみじみ思う。彼女は俺が穿つたびにぐちゅんぐちゅんいうので、音を立てないでと嘆いた。しかし濡れているのは彼女なので、俺が責められる謂れはない。
「ら、らんさ、せ、めて、やすま、うあ」
「なにを言っているのか、わからないぞ」
「さっ、きから、そればっかあ、あ、あ」
 俺が動くから呼吸がしづらいのか息を吐く瞬間に喋ろうとするので、本当になにを言っているのか俺はあまりわかっていないのだった。
「ア!あああ、こわ、こわい、こわいぃ」
「怖くない、こわくないから」
「いや、いやだあ……」
「セイバー」
 優しい素振りを見せつつ、自身で彼女が体を強張らせる奥壁を擦り上げる。彼女が悲鳴を上げたので、もっと聞きたくなって、覆い被さり陰核をぬるぬるする指先でよしよししてやったら息を詰めて腰を痙攣させた。彼女は普段から気張っているので、こういうときも全身が強張っている。なんとか寛げてくれないかなあと空とぼけて愛撫してやると余計に気持ちよさを感じることに罪悪感を覚えるらしい彼女が体を固くすることはなんとなくわかっていた。彼女は達しているように見えたが、俺はまだ達していなかったので、一度挿れっぱなしで動きを止めてやってから、気のゆるんだ彼女の腰を掴んで一気に責め立てる。一突きで、はあっ、と彼女は肺からすべての酸素を出したようだった。そこで彼女の表情が気になってしかたなくなったので、一度引き抜き、ごろんと彼女を仰向けにさせて力の抜けた足を開けさせると照準を定めてゆっくり腰を進める。彼女の膣が、戸惑いながらも俺を締め付けたので、思わず息が漏れた。
「んうう……」
 見たかった彼女の顔は、羞恥を忘れたように真っ赤になっていて、さらに瞳をとろかせているので、思わず唇を塞いだら小さな舌を一生懸命俺のに絡ませようとしてくる。かわいいなあと思った。考え方とか思考することにおいて彼女は大人なのかもしれないが、こういったときの所作や体つきは少女なので、組み敷くとすこし悪いことをしている気分になる。抱き締めると俺の腕にすっぽり収まってしまう華奢さ。筋肉はついているが、明らかに俺のとは違う。肉は柔らかい。べろり涙を滲ませた目元を舐める。彼女は反応する。たん、たん、たんと一定のリズムで突き上げる。たまに角度を変える。彼女は泣きながら俺にしがみつく。またかわいいなあと思う。肉体交渉は健全だ。大いにそうだと考える。こうしている間は誰も知らない彼女の表情を独占できる。俺以外が知っていても別段構いやしないが、ただそう思うだけで(誇り高き騎士王を!)、すこし幸せな気持ちになる。
「らんさ、が、こんなこ、する、なんて」
 ふと彼女が俺の頬へ指先を伸ばした。熱を持ち震える指先にどきりとする。
「俺だって、……」
「なにか、あ、あったのです、か……」
 彼女がこわいと言ったのはそういうことだったのかと理解した。俺は図星を突かれた気になって、彼女の腰を高く上げて折り曲げて、彼女の抗議の声を無視して、さっきよりも勢いをつけて抉る。恥骨を擦り付けて、唇を塞いで、指を絡めて、彼女の思考を奪い去ろうとする。そうさ、悲しいことがあったのさ!だけど知られたら嫌だから、聞こえなかったふりをした。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -