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 マツバとミカンは付き合っていたけど別れて今はデンジと付き合っているミカン
 マツバは今アカネと付き合っている
 っていうぐだぐだややこしい、もはやオリジナルでやれってレベルな文






 話すことはあまり得意ではないのだ。どうやって感情を伝える?ジェスチャー?
「マツバさんたら幸せそう」
 ミカンはくすくす笑った。ああ、確かに幸せだよ僕は。僕を想ってくれているこもいるし、僕もそのこの事を想っている。
「君もだね」
「ええ、それなりに」
 とか言って笑顔で頷くミカン、自分で言うのも難だが普段温厚である僕が、その横っ面をぶん殴りたくなった。それなり、だってさ!僕といたときなんかより幸せそうにしやがって!
「今日はどうしたの?」
「エンジュシティだけで売ってる匂袋、わたしの持ってるの香りがなくなってしまったので買いに来たんです」
「へえそんなの売ってるんだ」
「わたしのは椿の香りがするんですよ」
 確かに僕らの鉢合わせた場所はそういった類いの店の前だった。気まずさの片鱗も見せなかったミカンの態度に少し腹の中がぐらっと煮だった気がしたのも同時だった。僕らは穏便に離れたはずなのに何故今さらそんな感情が沸くのだろう。
「ねえミカン、彼にも何か買っていってあげなよ」
 匂袋の棚を見る。様々な色とりどりの袋が陳列した棚。ミカンが選んでいた椿の袋は臙脂色をしている。手に取り鼻に近付けて、その甘ったるさに吐き気がした。どちらかといえば静脈の方を流れる血の色をしたその袋はまるで僕の心情を表しているようで嫌気が差す。
「蜜柑の匂いもあるんだね。それ、いいんじゃないかな」
「そんな、わたしの名前と同じの香りを選ぶだなんて」
「きっと喜ぶよ」
 ほらほら、とミカンの戸惑う背中を押しながらそれを持たせて買いに行かせる。何をやっているのだろう僕は。ともだちに接するように、たったそれだけのことがこんなにも辛い。今しがた触れているこの華奢な肩は、もう違う誰かに抱かれているのだ。
(今の彼女は、その彼と×××!)
 気が違いそうになる。嫉妬ではない。けして。だけど、
「買ってしまいました」
 レジから帰ってきたミカンはやはり僕といたころのミカンだった。なにも変わってなんかいやしないのだ。
「うん、僕なら喜ぶから大丈夫」
「本当ですか?」
「もちろん」
「それなら……」
 少し考えるように匂袋の入った紙袋を見下ろすと、頷いてミカンはお土産にしますと言った。何故僕の意見にここまで忠実なのか、少し何か期待してしまっている僕がいる。しかしそれからミカンと笑って手を振ってさよならをした。遠ざかるミカンの影、あああ今すぐあのこに会いたい。と思った。今すぐあのこに触れないと、きっと僕は狂ってしまう。



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