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 白衣を着たコトネは何かの資料を見ながらパソコンを開いている。コトネは二つくくりをしなくなった。気まぐれだと思っていたらそうでなくて、それからはずっと下ろしておくとかポニーテールだとか二つくくりをしなくなったのだとにかく。

 「おいコトネ」

 頼まれていたポッポの卵を持って俺は研究所の扉を開く。ウツギ博士の手伝いをするコトネはなかなか面白い事象を発見したりと近頃やや名前が有名になってきているらしい。俺はといえばチャンピオンなので挑戦者が増えたりなんだりして結構忙しかったりする。お互い忙しくてあの頃みたいに二人で遊んだりすることがなくなった。
 ポッポの卵を運び終えて、そのノリのまま少しは話せたりしないかなとちょっと期待したのだが、卵を受け取ったコトネは礼を言うと忙しそうに研究に戻っていく。

 「………、」

 去っていく背中に流れる髪はいつもより少なそうに見えた。すっきりとした髪に、やはり俺は声を掛けられない。髪切った?言えばいいのに邪魔になるだろうと思ってしまう。だって彼女は忙しい。

 「なあ」

 だが俺は頑張ったのだ。

 「……髪切った?」

 「あ、よくわかったね」

 コトネは嬉しそうに皆気付かないのにすごいと笑うと俺を見る。気付かないはずないだろいつも見てんのに。

 「さわってい?」

 「どうぞ」

 茶色いコトネの髪に触れると長さは変わらないのに以前触れたときよりも随分毛束が違くてびっくりした。コトネはそんな俺を見て微笑む。そしてやっと普通に話しかけてくれたねと言った。

 「最近わたしのこと避けてなかった?」

 「え、いや、べつに」

 「そう?」

 いつの間にか大人びたコトネに突如心拍数が上がる俺がいる。どうしようすげえかわいい。

 (……ああ、そっか)

 お互い忙しいと理由をつけて避けるようになっていたのは、彼女があんまり好きで近づけなかったからだったからなのだとそのとき初めて思い知った。



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