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 3Z/PG-12




 何でもない瞬間に、俺の下で荒い息をしていた妹を思い出す。

 (……もー随分前のことなんだけど)

 本来寝る場所であるベッドは、もうひとつの役割を果たすことを改めて知った。しかしシーツはあれ以来洗われてあのときの痕跡は無くなっている。妹も今までと何ら変わらない態度で接してくる。あれはなかったことに等しい出来事だった。そう思えば何ということもない。

 「神楽、晩ごはん出来てるよ」
 「あと五分待ってヨ」

 扉の向こうの妹が返事をした。妹は部屋で着替えているらしい。さっきからずっと呼んでいるのに来ない、俺は神楽の母さんかよ、と思ってしまう程度の少しの苛立ちを隠して俺は居間に戻った。

 「ごめんネ」

 やっと居間にやって来た妹に俺はいいよ、と笑いかける。そして二人で春巻きに箸をつけた。それから妹が学校の帰りに土産にと買ってきた551の肉まんを食べる。確かにそれは美味しいのだが、どこか味気ない。
 土産を買ってくるような気の利くそんな妹は、食事中終始眠たげで学校で何か忙しいことでもあるのだろうかと思う。もしかしたらさっき呼んでもなかなか来なかったのは、部屋でうたた寝でもしていたからかもしれないなあとぼんやり考えた。

 「神楽、学校忙しいの?」
 「ん?え、まあ、わりと」

 はっとした様子で妹は返事をする。

 「大変だね」
 「そうでもないアル」
 「ふうん」

 端から見れば至極普通な日常風景、その後俺たちは食器を片付けると順番に風呂に入ってつまらないバラエティ番組をちょっと見て、別々の部屋に寝に行ったのだ。しかしその間の会話が夜が更けていくにつれぎこちなくなっていったのである。妹は最後お休みすら言わなかった。この頃そんなことが続く。なんだかなあ、と思う。



 なんだかなあ、といった気持ちのまんま、俺は自室に入りベッドに身を横たえた。その瞬間ほんの少しだけ、なぜか妹がやって来ることを期待する。しかしいつの間にか眠りに落ちて俺は朝を迎えるのだ。それから目が覚めるといつも幸せな夢を見ている気がするのでそれを思い出そうとするのだが、頭が勝手にあの夜と連結させようとするので、頭を抱えた。




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 broilerさんのタイトルの曲が
 あんまり素晴らしかったので…
 鏡音リンさんです



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