a | ナノ
3Zで源氏物語パロ
ある時神楽が学校に来ない朝があった。友人である妙たちは昨日まで元気だったのにどうしたのかしらと不安げにしている。銀八は神楽の家に安否の確認の電話を入れた。知らない男の声がした。
「気分が悪いって、ベッドから出ないんですよ」
「はあ」
「兄としては寂しいですね、大切な妹と遊べないだなんて」
何か含みのあるこの男の物言いに、銀八は不審がって神楽はいったいどう気分が悪いんでしょうかと尋ねてみた。
「機嫌も悪いのでどう言ったら……ああ、とても汗をかいて、何でか泣いてます。後で話を聞いてみますので」
ごそごそと電話の向こうで物音がする。
「今日は俺が面倒見るので大丈夫です。わざわざ電話ありがとうございました」
そう男は言い残し電話を切った。銀八は何か消化不良を起こしたように身の中が気持ち悪い気がした。
「神楽、何がそんなに気に食わないの」
神威は妹に向かい声を掛けるが、妹はますます布団を被り込み顔を出そうとはしない。かわいい奴だなあと神威はしみじみと妹を思う。そうして今日は赤飯でも食べようかと神威は呟くと、神楽の体をぽんと叩いた。今日は特別な日だもんねえ神楽。神威は人の良さげな顔をして台所に立つ。
依然神楽は布団から出ないままであった。