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 ね、俺たち仲直りしたもんね神楽、ほら手繋いでさ、仲直りした記念にどっか行こっか、そうだ一回前から行ってみたかった水族館行ってみようよだって絶対きれいだよ魚ゆらゆらしてさ、海ん中にいるみたいらしいね俺ら海とか行けないし興味あるだろ、あ、お前冗談でも蟹とか見てお腹空いたとか言うなよ、はは、わかってんだよ俺お前の兄ちゃんだもんあれなんか雨降りそうだよし神楽そろそろ立って行くよ、とりあえず今は家に帰ろっか親父もいないし俺ら二人だけだよ楽しいだろうね、そういやここんとこもうずっとあの家帰ってないよなあ思い出すだけでも懐かしいよそれでそれからだよね二人で遊びに行くの、ん、?、そういえばなんで神楽そんな手冷たいのここそんな寒いかな俺はむしろ暑い気がするんだけどなあまあいいけど、ところでさっきあんなにお前切れてたのにさ、今はこーんな風に甘えちゃってかーわいいねえうん、神楽抱っこするとか何年振りかなちょっと落ちかけてるじゃんちゃんとくっついてよ不安になるじゃんああうだうだしてる時間なんて勿体無いねよし行こっか神楽ほらほらほらほらさあ、









 かぐら?





















 「疲れたの?」

 どさり崩れ落ちた。ぽっかりお腹中心に穴開けて神楽は床に仰向けに横たわる。床の底が見える空洞。うっすら目を開けて天井を見つめる神楽の目は乾いて黄色く淀んで鮮やかな青い色彩だけが浮かんでいる。

 「……これぐらい治るんじゃないの?ね、俺ら丈夫だもんね神楽」

 神楽の傷口がみるみる塞がって床から起き上がりあの時の様な笑みを浮かべて俺に手を差し出す未来を想像する。さっきあんまり俺を拒絶したもんだからいらっときてちょっとやりすぎちゃったかなあと今さら思ってるんだけどどってことないよね?

 「神楽、起きなよ」

 「ね、神楽」

 「ねえ」









 それなのに握りしめた手が固く冷たいのはなんでなの


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 夜兎の自己再生力を過信してたりしたらこんなことがあるんじゃないかなって

 暗すぎる^q^



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