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 ひゅうひゅうと呼吸するたびに音がするから肺か気管かに穴開いてると思う
 あのこの名前を呼んでみたけどやはりひゅうひゅう、ああ俺もう駄目だなと思った

 手を伸ばすと力なく笑い掛けてくれる、あのこの柔らかな手が恋しい。もう一度だけと名前を呟く。でもそれは声にすら成らなくて咳き込んだ。

 (あと一回だけ、あえたらいい)

 空を見上げると真っ赤だった。おかしいな、さっき夕方は終わったはずだろ。渾身のちからでまばたきをする、ぺりぺりと瞼が音を立てたので額から流れていたらしい血のせいだったのかと思った。

 ざり、物音がして薄れかけた意識がかえってくる。目を音の方に向けると悲しそうな顔をしたあのこが立っていた。反射的に呟いたごめんな、はもうとどかない。だって声にならない。

 「馬鹿ネ」

 あのこは言う。

 「お前はこわれやすいくせに」

 さっきあのこじゃなかったあのこはさっきから考えてたもう遠かったはずの柔らかな手で俺のほおを撫でた。だからねむたくなる。ふりはらうようにまたまばたきをする、

 「お前のことは嫌いじゃなかったのに」

 あのこの優しい声がするからうなずいてみせた。言いたいことがのどでつかえる。

 (さよなら、すくってあげられなくてごめん)
 (なんとなく自分ならできる気がしてた、なんてさ)

 「ごめんネ」

 にじむ目前、あのこのかおがゆれる。泣いてるようにみえるようなその目もと、あのこが泣くなんておもいもしなかった。なくなよ。せめてわらおうとして、もうこきゅうをすることすらせいいっぱいだったということにきづいた。



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 あれだよね
 覚醒ぐらたんを助けたかった沖田
 的なね



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