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銀+神
うえー銀ちゃん髪伸びすぎアルよー。
ぱちんぱちんと銀時の髪が切られている。万屋の机の上で銀時は居眠りしている。湿って冷えたわずかな風がそよそよと銀時の髪を揺らす気持ちいい夕方だ。
「あれ…?切りすぎたか?切りすぎちゃったか?」
あれー?反対方向に腕を回しまた髪を切る。ぱらぱらと落ちる髪は冷えた色をしている。銀ちゃん白髪どーにかならないアルかー?無駄に多い神楽の言葉はは夕方の空気に消えていく。
がちゃん。
神楽が切った銀時の髪型は切る前とあまり変化無くそこらじゅうに細かい髪が散らばらせただけだった。神楽は夜になっても無反応な銀時の髪を切るのに飽きて鋏を置く。
「銀ちゃーん飽きたアルー。起きてー」
ゆっさゆっさと肩を緩急つけて揺さぶるが切られた髪が銀時の肩から落ちるだけで銀時は起きない。
「コラー銀ちゃん銀ちゃーん」
神楽はいつのまにか柔らかい月の光が部屋に差し込んでいるのに気がついた。まだ夜になったばかりのはずだったが星が煌めいてきれいな夜で、今から銀時と一緒に夜の散策とか楽しそうだと神楽は思う。うまくいけば二十四時間営業のファミレスでおいしいもののひとつやふたつ奢ってくれるかもしれない。
そう思ったので銀時の頭をぐりぐりと押すが一向に起きる気配がない。
諦めて声を掛けてみた。
「…神楽ちゃんお風呂入るアルよー」
「………」
(もー知らないネ)
銀時の頭から手を離してその場を離れようとしたが、
「待て。先に銀さんが入る」
銀時が神楽の服の裾を掴んだ。
「起きてやがったアルか!?」
「お前の風呂は長い…どーせ一人で水鉄砲でも作って遊んでんだろー?」
銀時は掴んだ神楽の服の袖を離すと神楽を抜かして風呂場へ行こうとする。
「待てえええ銀ちゃんも風呂長いアル!どーせ男のくせに色んなとこ丁寧に洗ってんだろ!」
「……それの何が悪い」
「うぎゃー開き直りやがった!あのね銀ちゃんわたし思春期!おっさんの後に入るのは嫌ヨ!だからわたしに先風呂譲るヨロシ!」
「……あー」
面倒そうに銀時は頭を掻くと神楽の首根っこを掴み上げた。ぷらんと神楽は浮く。
「なら一緒に入れば早いんじゃねーの?ほらほら」
「ぎゃーキモいキモい銀ちゃんキモいアルー!」
風呂場へと連行される。神楽は抵抗するが脱衣場へ押し込まれた。
「んじゃ」
神楽は慌てて叫んだ。
「銀ちゃん!」
銀時は口の端を歪めて笑う。
「さっさと上がってこいよー?銀さん待ってっからなー」
三十分であがんねーと入っちゃうからなーと銀時は向こうを向いて手を振りながら脱衣場を出ていった。
「……………」
しばらく呆けていたが神楽は急いで服を脱ぐと風呂場へ飛び込んだ。
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神楽と銀時は親子愛的なもので繋がれていたらいいなと思うんですが∩^ω^∩