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 往来を歩いているとごく僅かな音声であったが宇宙海賊春雨がどこぞかの星で壊滅したというような会話が聞こえた。

 「かーぐらちゅわーん?」

 は、と我に帰ると目の前で手をひらひらさせている銀ちゃんがいる。

 「どーしたよ」

 「あ、う、なんにもないヨ」

 そお?と銀ちゃんは言ってさっさと仕事済ませて帰んぞと言った。わたしは頷くと銀ちゃんの後ろを追いかける。



















 仕事を終えて万事屋に戻ると頭がぐるぐるした。仕事中は忘れようとしていたが、仕事が終わりすることのなくなった今はあの話が頭にこびりつく。押し入れに引きこもって体を丸くしていた。

 (嘘だ嘘だ嘘だ)

 頭の中は真っ白だがどこか奥の方であの話を否定している自分がいる。あの馬鹿兄貴がそんな簡単にやられるはずがない。あの兄貴をどうにかするのは自分だったはず。なのに何だよ、何で雑魚相手にやられちゃったんだよ。

 (相手知らないけど)

 ぎゅうと目を瞑りとりあえず落ち着こうとすると襖がノックされた。

 「はいネ」

 襖を開けると銀ちゃんが飯、と呟いたので押し入れから出た。そうして温かな湯気の立つ食卓につく。不意にその時、兄貴は近頃こんな風な食事につくことはあったのだろうかと思った。

 「……頂きますネ」

 「ん」

 新八は既に家に帰っていたらしかった。銀ちゃんと二人きりの空間の中、たくあんを口に含んでぼりぼり咀嚼する。何だかあまり食欲が湧かない。

 「……お前さ」

 「何ネ」

 銀ちゃんがしょうが焼きの豚肉を箸で挟みながら言う。

 「元気ねーな。どした?」

 「………………」

 わたしはその時またたくあんを口に放り込んだ瞬間だったので箸を口に入れたまま静止する。

 「………そんなこと、ないアルよっ」

 箸を口から出すと笑顔を作った。きっと貼り付けたような顔。きっと兄とよく似ているだろう。

 「……そうか?」

 「ウン」

 だが何をしても兄の顔が浮かぶ。憎らしくて腹立たしい馬鹿兄貴だが、世界に一人の兄貴だったんだ。

 次の瞬間、堰を切ったように大泣きしてしまって、銀ちゃんを慌てさせてしまった。












 (寂しいよ、すごく)

…………………………………………
 しばらくした後その話がデマだったことを知る











 ぐらたんは無意識大好き兄ちゃん党に所属していればよいと思われる



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