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 伏せられたつややかな瞼が目に眩しかった。小さな指先を捉える。やってくる電車。ざわつく駅のホーム。ずるりと落ちてゆく俺たちの影。衝撃を感じるまでもなく生きることをやめる将来。



「もお面倒くさい」
 どれだけ愛し合っていてもいずれ飽きは来るのだ。毎日顔をつき合わせていれば風景の一部になるし、正直セックスだってやりすぎれば面白くない。お互いがなんとなく飽きたことをわかっていたので、隠す気はなかった。
「ねえ神楽」
「なに」
「首絞めながらしていい?」
「ウン」
 ムードもへったくれもなかったが、とりあえず妹をベッドに横たわらせ、下着を取る。いつも通り。
「新しいパンツ買ったの?」
「安かったのヨ」
「へえ」
 とかやりながら、妹の首を絞めながら入れてみたら、口がだらりと開いて口の端から涎を垂らして、妹は声すら出さなかった。だらりと舌の垂れる、かぱっと開いた妹の口に反して膣はとても締まったので、俺はなかなか悪くないかもと考えた。ずこずこ出し入れして二分。なんだかこのまま殺しちゃってもいいかもなあと思っていたらちょっと俺らしくもなく怖くなったので、ぱっと手を離してやったら妹はかはっとむせて酸素を貪った。
「あ、あ……」
 顔を赤くしてどこもかしこもぐちゃぐちゃな妹はほっとしたような顔をして俺にしがみついた。



 とりあえず妹は知らないが俺は射精を終えたのでびくびくしている妹にさっきのを尋ねてみたら、もうやりたくないと言った。
「よかったのヨ」
「あり」
「ほんと、きもちかったアル。だって」
 妹の目は涙で潤んでいた。じっとこちらを見上げるあおい瞳。
「しぬかと思ったもん」
 そう言って妹は妹らしからぬ笑い方をして突然、俺の首もとに手をやってぎりぎり絞めた。仕返しなのかなあ、ぼんやり見上げた妹の首には赤い痕があって、確かに妹は一度死んだのだなと思った。呼吸することを自身の思う通りにできないということは、存外に悪くない。でも俺にはあまり向いていないようだった。お前を残していけやしないから、嫌になる前に、ふたりで死のう。




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