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 彼女は寂しいと言って俺に甘えてくる、俺にとってそれは癪なことだがうれしいと思ってしまうのだ。

 「またふられたのか」
 「うるさいわね」
 「俺にもあいつとおんなじ態度で接してくんないかなー」
 「ばか言ってんじゃないわよ」

 そうしてがむしゃらにただスポーツをするように交わって終わる。恋だの愛だのなにもない。ただのストレス発散のような。

 (気持ちはいいんだけどな)

 彼女の玩具にでもなった気分だ。きっと俺の下半身にしか彼女は用がない。もし彼女に気兼ねなく接することのできる俺でない男の友人でもいれば、彼女はそいつのところに言って俺と同じことをするのだろう。それがないことだけが救いだった。彼女はきっと誰でもいいのだろうが、俺にとっては彼女だけなのだ。

 (全っ然俺の好みじゃねえのに)

 俺に背を向けて彼女は眠っていたが、寝返りを打ってこちらを向いた。華奢でまろやかな肩が息をするたび上下する。長い睫毛が作る影を初めて間近に見た。同時に形のよい唇と柔らかなそうな瞼とすらっとした鼻が腹立たしいほど美しく配置された顔に近付いて、決して彼女が俺にしない口付けを、彼女が眠っているうちにそっと、する。



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