引き抜かれたとき、居心地の良い土から離れたくはなかった。私を見た芋掘り名人は言う。
「ゲソの付いた芋じゃ」
恐れた名人の手から私は落ちた。
仕方なく山を歩き、木に生る蛸足の林檎を見付けた。それは喋った。
「宿敵か」
武者震いし、それは木から落ちた。
類だが、それを友とは呼ばない。


『恋して愛して、憎んでる』
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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