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いつかの教え子は防護スーツに身を包み、表情を隠した。今では顔面の黒いスクリーンが彼女の顔だ。
元から口数も少なかったが、今では言葉を発することもない。自分を封印したかのようだった。
昼間に教会を訪れるときは電子音で存在を示し、恭しくお辞儀をする。微笑む顔をスクリーンに表示して、フィネスに花を届けるのだ。道化のパフォーマンスのようだと街の子供は喜んでいる。子供が笑うとアマリリスも嬉しそうだ。だが、フィネスには推し量れないものだ。表情はいくらでも偽れる。
フィネスの記憶では、アマリリスには双子の弟がいた。病弱であまり顔を出さないが、手を繋いで仲良く歩いていた。話しかけると、弟の後ろでアマリリスははにかむように笑っていた。
双子の弟をもう何年も見ていない。アマリリスが心を閉ざしたのはその頃と合致する。何があったのかを想像するのは容易い。
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