母を待てず、スーパーを出た。リードに繋がれたポチは僕を見て尻尾を振る。胴回りのもっちりしたちくわも揺れる。先程、練り物売場で試食した竹輪とポチは何が違うのだろう。ふらふらと僕は鮮魚店に足を向ける。「親戚?」と問いかけても、鯵もポチも答えない。
遠くで母の僕を呼ぶ声だけが響いた。


『迷子のお知らせ』
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -