バス停の庇の下、二人は霞む通りを見ていた。探偵の抱えているバスケットが揺れる。猫が身体を掻いているようだ。揺れる籠を気にしつつ、助手は濡れた髪を拭う。
「止みませんね」
「小腹が空いたね」
互いの言葉が重なる。すかさず、助手は紅茶とスコーンを出した。何故、傘を持っていない。



『三時の雨宿り』
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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