※超次元!で片付けましょう。
※守が幼いです。




『ただいま』

部活で疲れた身体を引き摺って玄関の扉を開ける。

身体は疲れているが、気持ちは軽い

靴を脱いでいると、トタトタと足音が近付いて来た

『照美お帰り!』

『ただいま、守』

出てきたのは守、大きな瞳をした小さな愛らしい子だ。

『いい子にしてたかい?』

『うん、絵本を読んだ!』

『偉い偉い』

頭を撫でれば、嬉しそうに目を細める

『2人は?』

『ふーすけは卵で、晴矢は寝てる!』

風介は卵、買い物という事だろう

『そっか、じゃあ夜ご飯はオムライスかな』

守が顔を輝かせた。ちょっと悔しいが風介の作るオムライスは守の大好物だからね。

『オムライス!』

『うん、風介が帰って来るまでにお風呂入ろうか』

『はあい!』

トタトタと拙い足取りで駆け出す、動きに合わせて猫耳のような髪がピコピコと跳ねて、頬が弛んだ。

駆け出した守が入浴剤を入れたのか、脱衣場は甘い匂いがしていた。

今はまだ小さいから一緒にお風呂も入るが、もう少し大きくなれば、入ってくれなくなるのだろうか。

思春期となれば家にも中々帰らなくなってしまうのだろうか…

守が脱いだ小さな服をみながらそう考えると少し悲しい未来をぼんやりと想像してしまった。



『ふーすけ!』

『あっコラ!守っ、髪を拭いて…!』

お風呂に入っている最中に風介が帰って来た音が聞こえた為、守は風呂を上がると同時に駆け出してしまった。

ポタポタと零れる水滴を拭きながら辿れば、やはりキッチンにいた。

『ふーすけ!オムライス!』

風介の足元でピョコピョコと跳ねている、ああもうっ!風邪をひいてしまうじゃないか。

『私はオムライスではない』

風介は卵を混ぜながら答える

『…オムライス違うのか?』

『オムライスだ』

『!ふーすけオムライスだな!』

『…。』

端からみていると、この2人の会話はおかしい。

噛み合っていない

風介の言葉不足と守の文法のなさが問題だ。文法はちゃんと教えなければならないけれど、今はこれが可愛くて仕方ない。

笑いを堪えながらタオルを広げて守の頭を掴んだ。

『捕まえた、早く拭かなきゃ風邪をひくよ』

『わーっ!』

ジタバタと動く守を制して髪を拭けば、風介の口元が僅かに上がっているのに気づいた。

『早く拭いてオムライスを食べよう』

『はーいっ!』

ぷはっ、とタオルから顔を出した守が笑う。猫耳のような髪がピンッと跳ねる

もしも天使がいたのなら、きっと守のような子に違いない

壊れないように、壊さないように

濡れた髪を、優しく丁寧に、拭いてあげた。





 
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