たな扉は開きません!





「ねえ何でこんなことになってんスか…?」
「ちょっとバカ犬、背筋伸ばして」
「太一さん喋んな。グロス塗れねえ」
これ以上ないくらい真剣な幸チャンとあーちゃんの眼差しに抗えるわけもなく、俺はこぼれそうになるため息を結局口の中に閉じ込めた。
…ほんとに何でこんなことになってんスか?俺っち何にもしてないのに。

事の発端は、この二人と一緒にとあるテレビ番組を観ていた時である。
番組の内容は「女の子よりかわいい!いま話題の「男の娘」たちを取材」みたいな感じだった。テレビ画面を冷めた目つきで眺めながら幸チャンが「服のサイズ合ってないじゃん。着られてる」って言って、続けてため息をつきながらあーちゃんが「メイクも甘ぇな。シャドウの色が目の印象と合ってねえ」と言った。
ちなみに俺はそんなこと、言われて注視してみても全然分からなかった。テレビのナレーターが言うようにメチャクチャかわいいと思ったし、黙ってたらホントに女の子にしか見えないなぁすげえなぁと感動していたのだ。
「ってかもっと本気で自分に合う服探せよ。本気で可愛くなりたいならそれこそ作るくらいすれば良いのに」
「たしかに。あ〜この人のメイクもダメだな、眉毛が。俺が描いたらもっと化ける」
「要はクオリティがさ、低いんだよ。素材が良いのにもったいない。骨格が服のシルエットとちぐはぐじゃん」
「メイク云々の前にまず保湿がなってねえ。きちんとケアしてない肌に何乗せてもダメなんだよ」
「…ええ〜厳しいッス…こんな可愛いのに…」
こぼした言葉は、別に二人に拾って欲しくて言った訳じゃない。ただ純粋にそう思ったから言っただけで、会話に参加すると言うよりは独り言に近かった。
…だけど、きっと失言の部類だったんだと思う。俺がそう言った瞬間二人ともがこちらをギロリと睨んで、ゴゴゴという効果音を背負ってしまったから。
「…厳しい?」
「ひぇ」
「…どこが?」
「ひょ」
二人の目が鋭い。鋭すぎる。少しだけ首を傾げて「どこも厳しくないよ」と、さっきの発言をまるでなかったことのようにして笑ったけど、俺の首からはギギギって変な音がしたし二人のバックに見えるゴゴゴは消えることがなかった。
「おまえ俺たちのプロ根性なめてる?言っとくけどテレビの奴らの何倍も服にかけてる思いは本気だから」
「俺もこの人らの何倍もこの人らに合うメイクできる自信あるけど。こんなんで満足してんの?って聞きに行ってやりたいくらい」
「うんうん。ホント二人の言う通りッス。さすがッス。あっぱれッス。だから一旦落ち着こ?」
どうどうと二人をいなすように言うけど、もうだめ、全然効果なしだ。グイグイ迫ってくる二人に気圧されて、俺は思わず後ろへ倒れそうになった。
「ってかゼロの時のおまえの方がよっぽど質が高いから。あのウィッグと衣装にどれだけ魂込めたか分かってんの?」
「俺もこの人らより太一さんのこと可愛くできるって断言できるわ。なんなら試す?今から」
二人のプライドの先っちょに少しだけ、俺は触れてしまったんだろう。こうなったら多分、もうだめだ。
「いいよ、分からせてやるよバカ犬。テレビのどの男よりおまえのこと可愛くしてやる」
「おら太一さん立てよ。今から化かしてやっから」
あ〜〜〜絶対こういう方向に話が転がってくと思った。も〜〜〜絶対こうなると思った!

うん、えーとあの、まあそういうわけで、俺は今本気になった衣装係と本気になったメイク係に囲まれて、かわいい男の娘に変身させられている。
わざわざ倉庫まで移動するんだから、二人ともさぞ燃えてるんだろう。姿見に映る自分の姿がどんどん変わっていくのでげんなりした。もうやだ、だってホントにかわいいんだもん。俺別にかわいくなりたい願望なんてないよ。やるならイケメンでかっけえ男に変身させてよ。
「ほら背筋っ」
「いた!」
幸チャンに背中をバシッと叩かれて、俺は何度目かの気をつけをする。鏡の向こうにはスポーツミックスな服装をした女の子(注:俺)がいた。
髪の毛がツヤツヤになる謎のスプレーをあーちゃんにかけられ、俺の髪は意味がわからないほど潤いを保った。毛先を丁寧に内巻きされたお陰で、赤髪の前髪重ためツヤツヤショートのいっちょ出来上がりだ。自分の髪の毛から無駄にいい匂いがする。自分からそんな匂いがしても別に全然ドキドキしないよ、匂いの無駄遣いだ。
ツヤツヤショートカットの上に幸チャンがニット帽をかぶせて、その角度を厳しくチェックする。ニット棒の角度の微調整が済んだ後はオーバーサイズのロングTシャツとその上に羽織らされたスカジャンのシルエットの確認だ。厳しく俺の全身をにらみ、幸チャンはそれからウンウンと無言で頷いた。
「ねえあの…丈が短すぎない…?」
ロンTは俺の膝上20センチまでしか隠してくれず、もはや防御力ゼロだ。そこから伸びる自分の足がやけに華奢で白いから、なんというかもうメチャクチャ複雑な気持ちだった。良い眺めだなと思ってしまう自分がいやである。ホントに心底いやである。
「似合ってるじゃん、かわいいよ太一」
幸チャンに褒められてヤッターと思う気持ちと、うーんでもかわいいのは別に嬉しくない…と思う気持ちが混ざり合って苦い味になる。だからね俺は!かっこいいって言ってほしいんスよ!
「太一さん次こっち。座って」
最後はメイクだ。あーちゃんに促されるまま鏡の前に置かれた椅子に腰掛ける。あーちゃんは真剣な表情で俺の顔に色を乗せていった。その眼差しは研ぎ澄まされてていかにもイケメンだ。だからさ俺はかわいくなりたいんじゃなくてクールでかっこいいそういう顔が似合う男になりたいんだけど。ねえあーちゃん聞いてる?いや喋ったら怒られるから聞けないけど。
「太一さんの目、濃い色でライン入れた方が映えるから。ここ、目尻のとこも強めに引いてさ」
「……」
「まつ毛長いね、マスカラが良く乗る。あんたツケマ必要ねーかもな」
「………」
「太一さん聞いてんの?俺いま大事な話してんだけど」
知らないよ!だってその話が参考になるような場面が今後来るんスか!来ないよ!
数十分後、できたと言ってあーちゃんが俺の前に手鏡を持ってきてくれた。鏡の中の自分と至近距離で目が合う。…かわいい。確かにさっきテレビで観た子たちと張り合えるくらい、ばっちりかわいい。本当にげんなりした。
「いいじゃん」
「うん、いい」
自分たちが手がけた作品を前に、二人は満足そうな顔をしている。落ち込んでいく俺の心を置き去りにして。
…もう気が済んだだろうか。脱ぎたいし顔を洗いたいし頭を思い切りシャカシャカしたい。
「みんなにも見てもらお。アンタも他の人の感想気になるでしょ」
「え、全然気になんないッス」
「は?」
幸チャンがあからさまに機嫌を損ねたので、俺は慌てて「なる!なるかなぁちょっと!」と訂正した。あーちゃんもてきぱきメイク道具を片付け、それから俺の顔を覗き込んで「行くよ太一さん」と言った。もう退路はない。あ〜ほんとあの時なんであんなこと言っちゃったかな〜…俺っちバカだなぁ…。後悔先に立たず。後の祭りだ。

三人で談話室に行くと案の定みんなからかわいいかわいいと絶賛された。幸チャンとあーちゃんが、こーゆーところに気合入れたとかこんな部分に気をつけたとか説明している横で、俺はただただ複雑な気持ちをぶら下げたまま突っ立っていた。いつ着替えさせてもらえるのか、さっきから気になるのはそればっかりだ。
「秋組のやつらはいないの?見てもらいたいんだけど」
幸チャンが秋組のメンバーをキョロキョロと探し始める。その時談話室にはたまたま俺とあーちゃん以外の秋組メンバーはいなかった。ちょっとホッとした。なんか自分の組の人たちに見られるのは余計に恥ずかしい。
「ねえ幸チャンあーちゃん、俺っちそろそろ着替えたいんスけど…」
「待ってよ。せっかくだからおかんに写真撮ってもらいなよアンタ」
幸チャンがそう言ってドアを開け、廊下の向こうに向かって「臣ー」と彼の名を呼ぶ。もう、もうさあ、いいよやだよ、臣クンに見られたくないよぉ〜…。
俺の願いも虚しく、幸チャンの声を聞きつけた臣クンのこちらに向かってくる足音がする。
「なんだ?」という優しい声と一緒に臣クンがドアの向こうから現れたので、俺は「助けて」というメッセージを顔面に貼り付け振り返った。決して俺がしたくてしてる訳じゃないんだよ臣クン。わかって。気づいて。いつもの太一が一番いいよとか言って早くこの場から俺を救い出して。
「………」
臣クンはドアの手前で突っ立ったまま、なぜか動かなくなった。俺の姿を瞬きもせず見つめ、銅像のようにただそこにずっと突っ立っている。
「かわいくない?俺たちがやったんだ」
「いいだろ、割と自信ある」
幸チャンとあーちゃんの声が聞こえているのかいないのか、臣クンは俺を見つめたまま動かない。何秒くらいそうしてただろう。幸チャンが不思議に思って「臣?」と呼ぶのとほとんど同時に、臣クンがやっと口を開いた。
「……かわいい」
やけに小さなその声は、心からの気持ちが思わず口からこぼれ落ちてしまったみたいな感じだった。臣クン、あの、そんな、信じられないみたいな顔されても…。
「…うわ…かわいい…」
「でしょ?」
幸チャンの自信たっぷりな相槌も、やっぱり臣クンの耳には届いていないようだった。
「……すごい……」
臣クンはフラフラと俺の前までやって来て、俺の頭からつま先までをその目に焼き付けるように見つめ続けた。
「……かわいい」
「…どうもッス…もう見ないで臣クン…」
「…かわいい、信じられない…」
「わかったよ、臣クンわかった!もういいッス!恥ずかしいから言わないで!」
いつものように頭を撫でられて優しく言われる「かわいい」とは全然違う。もうやだ、恥ずかしい。ホントにこれ以上見ないでほしい。穴があったら今すぐ入って隠れたい。
「…え、無理だ…どうしたら…」
「臣クンしっかりして!さっきから単語三種類くらいしか発してないッス!」
「かわいい…すまん、無理だ…」
「しっかりして!」
「…かわいい…太一…」
分かった!この人たぶん俺の声も聞こえてない!分かった!
「もういいッス!俺っち着替えてくる!」
語彙力の死んでしまった臣クンと、それから談話室にいる他の人みんなを残して俺はその場を飛び出した。もう耐えられない。羞恥プレイもいいとこだ。俺はかわいいで注目されたい訳じゃないんスよ!さっきから何回も言ってるけどかっこいいって!言ってほしいの!!
何人かの呼び止める声が聞こえた気がしたけどもう無視した。いやだ着替える。今すぐ着替える!さっきまで着ていた自分の服を取りに行くため俺は倉庫へ早足で戻った。着替えたらそのまま顔も洗うし髪の毛もメチャクチャわしゃわしゃする。もう終わり!俺っちは俺っちに戻る!

倉庫に着いて自分の服を手に取り、着替えようと思ったその矢先、後ろでドアが開く音がしたのでうんざりした。幸チャンかあーちゃんだ。なんと言われようと俺はもう脱ぐからね!顔も洗うからね!
だけど振り返った先にいたのは二人のどちらでもなかった。なんだかやけに深刻な顔をした、そこには臣クンがいたのだ。
「太一ごめん、待って」
「やだ着替える!待たないッス!」
「待ってくれ違うんだ、太一に嫌な思いさせたなら謝るから」
「やだ!女の子の格好してかわいいって言われても嬉しくないの俺は!臣クンなら助け舟出してくれると思ったのに!もういいから出てってッス!」
「太一待って」
臣クンが後ろから俺の両腕を掴んで行動を遮る。何言われたって俺は着替えるんだから!もうどっか行って!
「…本当にかわいい。もうちょっとだけ見せて」
「〜っ!まだ言っ…」
振り返った途端、臣クンの切羽詰まった顔が目の前にあって俺は続きを言えなくなってしまった。待って臣クン、なんでそんな顔が近いの。息が熱いの。待って待って待って。
「…かわいい。ドキドキする」
「し、しないで…」
「無理だ、どうしよう…かわいいよ太一」
よっぽど臣クン好みの外見なのか、もう臣クンの声は湿度を纏って俺の鼓膜に絡みついてきた。…やだ。やだやだ!こんな格好したままそういう空気になりたくない!
「〜…っ、かわいいって言われても嬉しくない!」
「そうなのか?いつもそう言ったら喜んでくれるのに」
「いつもは見た目とかじゃなくて俺自身をかわいいって思って言ってくれてるから嬉しいんス!違うじゃん!今言ってる「かわいい」は!こーゆー女の子が好みってことでしょ!」
臣クンはビックリした顔をして「何言ってるんだ、違うよ」とすぐさま否定した。
「太一がかわいい格好してるからかわいいんだ。他の誰かだったらこんなこと思わない」
「あ、ああ言えばこう言う〜…!」
「違う。太一だから思うんだ」
「うぅ…」
「かわいい。かわいいよ太一。…興奮する」
ああ、だめ。だめ臣クンその目で見ないで。その声の使い方しないで。息の熱さにゾクゾクしてしまう。もっと言ってって気持ちが、俺の内側からちょっとずつちょっとずつ、顔を出してしまう。
「……かわいい。もっと見せて」
耳をなぞられて、抱き寄せられて、恥ずかしいけれど俺も興奮してきてしまった。決して、決して自分が女の子の格好をしているからではない。このシチュエーションに興奮しているとかそーゆーアレではない。断じて。
「…丈、ずいぶん短いな。ちょっと捲ったら見えちゃいそうだ」
臣クンが俺の太ももをそっと撫でて言った。撫でられる自分の足を見下ろして喉がゴクリと音を立てる。…だめ。触っちゃだめ。臣クンだめ。
「…お、臣クンのスケベ…」
「うん。太一といたらいつだって俺はスケベだ」
「…や、やだ…捲っちゃだめ…」
「…だめって言われるともっとしたくなる。…かわいい、太一」
太ももの内側を手の甲が優しく滑って、俺の体は震えてしまった。もうだめ、だめだ、臣クンにばれてしまう。臣クンと同じくらい俺も興奮しているんだって、気づかれてしまう。
「…キスしてもいい?」
「……」
無言はもう、頷いてることと同じだった。ドキドキしながら見上げると臣クンにも俺の気持ちが伝わったのか、少し意地悪な笑顔で見つめ返された。
どちらからともなくキスをする。グロスを引かれた唇が臣クンの唇と重なって不自然なくらいヌルヌルした。…気持ちいいと思ってしまった。唾液を交換しなくても二つの唇は滑らかに絡まる。簡単に繋がる。臣クンどうしよう、気持ちいいよ。ドキドキする。
唇を繋げたまま臣クンの手が、だんだんと上へ登ってきた。もう少しで下着に届いてしまいそうで、恥ずかしさとくすぐったさに思わず両足をよじってしまう。それに気付くと臣クンがキスをしたまま笑った。
「…女の子みたいだ、太一」
「そ、そんなことない…」
「もうすぐ届くよ、俺の手」
「…もう…く、口に出して言わないで…」
そんなことを言われて、さっきまでの俺だったらきっと怒ってたのに。
今はもう、どんな言葉も興奮を加速させるスイッチにしかならない。…女の子みたいだ、なんて。間違っても言われて嬉しい言葉なんかじゃないのに。
臣クンだから。臣クンが言うから、特別な意味を持って、特別な熱さを宿して、俺の心をかき乱すのだ。
「…さっき、どうしようかと思った。あんまりかわいいからビックリして、息が止まるかと思ったよ」
「固まってたよね臣クン…」
「ああ。…今は違うところが固まってるけど」
臣クンのトンデモ発言に俺の頭は火山のように噴火した。な、な、何言ってんの臣クン!え、え、エロオヤジみたい!
「しょっ……しょーもな!」
俺のツッコミに臣クンは「あはは」と笑った。…あ、笑って横に引き伸ばされた臣クンの唇に俺が塗ってたグロスがついてる。…そうか、女の子はこうやって奪われるんだ。丁寧に引いた口紅もグロスも、キスをされるとこうやって奪われて、剥がされる。一体どうしてだろう、なぜか俺はたまらなくドキドキした。なんだかそれがひどく、やらしいことに思えたのだ。
毎回奪い取られて剥ぎ取られて、無理やり、裸にさせられる。想像したらちょっと、本当にちょっとだけ…女の子を羨ましく思った。
「……太一、今やらしいこと考えてる?」
臣クンが俺の両頬に手を添えて尋ねた。瞳に捕まった俺はもう嘘をつけない。嘘をつくことを、許してもらえない。
「………うん……」
だめ。もうだめ。グズグズに溶かされた俺の下心はもう元の形に戻らない。いつだって簡単だ。簡単に、臣クンがメチャクチャにする。
…女の子にするみたいに、臣クンして。俺、今からちゃんと女の子になるから。かわいいって言われてその度に興奮しちゃうような、えっちな女の子になるから。
防御力ゼロの素足を触って。手をもっと上に進ませて。恥ずかしいところ触って。…やらしいことして。
「…太一」
耳元に唇を寄せられて身震いしたその時だった。倉庫のドアをドンドンとノックする音が聞こえて、幸チャンが「おいバカ犬」と俺の名を呼んだ。
「…ごめん。やだった?」
扉の向こうから聞こえたその言葉に、ああわざわざ謝りに来てくれたんだと分かる。幸チャンの声はちょっと心配そうで、だから尚更胸がチクリと痛む。
…幸チャンごめん。俺、さっきまであんなに恥ずかしいやだって思ってたのに、今、真逆のこと考えてたッス。…最低ッス…。
「う、ううん!全然ッス!俺っちこそ!」
「おかん今一緒?」
幸チャンの問いに臣クンが扉を隔てて「ああ」と返事をする。幸チャンは「そう」と返して、それから少しだけ間を置いて続けた。
「やな時はちゃんと言って。俺たちも気をつける」
それだけ言って幸チャンは扉の前から離れていった。談話室へ戻る足音が小さくなっていく。
幸チャンはやっぱり優しくてかっこいいな。過不足のない言葉はいつも、心にまっすぐ届くのだ。
「………」
ちょっとの罪悪感が底の方に広がって、なんだか居たたまれなくなった。臣クンも同じ気持ちだったんだろう、俺の「脱ぐね」という言葉にもう「待って」とは言わずに頷いた。
きっと幸チャン、臣クンが俺を慰めるためにここに来たんだと思ったんだな。…うう、ごめんなさい。二人して興奮していたことなんて、口が裂けても言えない。

ニット帽を取って、スカジャンを脱ごうと服を掴んだその時だ。臣クンが何故かパシッと、俺の手を取ってそれを止めた。
「…ごめん、やっぱり待ってくれ」
「へ」
「……」
「臣クン?」
「……写真だけ、撮らせてくれ……」
最後にこぼれた臣クンのお願いに一瞬。ホントに一瞬だけ、本気で呆気にとられた。
「……っ、臣クンどすけべ!」
「…すまん…」
「も〜〜〜〜〜〜!!!」

ねえ臣クンどうすんスか。俺がこれから、こっちの趣味に目覚めちゃったら。
ちゃんと責任取ってくれんスか!!
















綺麗で美しくてえっちで可愛い臣太を描かれるハヤシさんへ、お誕生日のお祝いとして書かせていただきました!女装太一くんのリクエストをいただいたので、こんな感じのお話になりました^^*
ハヤシさんのイラストlogをpixivで見かけた時雷に打たれた感覚を、今でもはっきり覚えています。一目惚れでした。恋に落ちる感覚と似てるなぁって思いながら、ドキドキしながらあの時ブクマしました…。
今でもずっと、私はハヤシさんの臣太に恋し続けています。ずっと大好きです!
女装を題材としたお話は二次創作では初めて書いたんですが、完全に私の新たな扉が開いてしまいました。なんてこった!!!

改めまして、ハヤシさんお誕生日おめでとうございました!これからも素敵な臣クンと太一くんを見れることを楽しみにしています!



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