幸村+3B


目に痛いポップな書体で書かれているタイトル。表紙には下品に股を開く女。思春期男子なら飛び付くであろうエロ本が俺のロッカーにあった。

「巨乳美女の放課後秘密のレッスン…」

手にとってパラパラと捲れば後ろで息を飲む二人。それを無視して中身を見れば、表紙の女が男に破廉恥な行為をしているショットがいくつも載っていた。もちろん俺だって思春期男子だからエロ本に興味がないと言ったら嘘になる。ただこれを見て下半身が高ぶるかと聞かれたらノーだ。第一これ、仁王とブン太が仕掛けた悪戯にすぎないし。

「で、俺は何をしたら満足するの?」

エロ本を手に取りながら振り返り、先ほどから俺の様子を観察してる二人に聞けば一瞬目を丸くした後、拗ねたように口を尖らす。

「こっそり鞄に入れてほしかったぜよ」
「あーあ、やっぱ幸村くんは無理かー」

仁王は正直に答えすぎ。そして発案はお前か、ブン太。

「なにやってるの。もし俺が鞄に入れたらどうするつもりだったのさ」
「写真撮ってばらまく」
「悪趣味だね」
「それは俺じゃない。仁王だ」

あーもうやだやだここの部員達は。悪趣味な事しか考えてないし。誰がこいつらをまとめてるんだ。あ、俺か。

「で、次は誰に仕掛けるの?」
「んー、ジャッカルはやったしのう」
「真田は?」
「え?」
「真田にやろうよ。楽しそう」

うっわそんなひきつった顔をしないでよ。そうだよね、真田にやると雷としばきが待ってるもんね。

「いやいやいや無理だろぃ」
「俺はやりたくないぜよ」
「でも真田が家に持って帰るの見たくない?」
「「…………」」

見たいだろ。俺だって見たい。

「じゃあやろう」

そう軽い気持ちだったのに、まさか本当に持って帰るとは思わなかった。引いた。



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