幸村


2日ぶりの制服に袖を通して朝練へと向かう。やっぱり部屋で塞ぎ込んでいるより外の方が気持ちがいい。
学校に着いたのはいつもより早い時間。久々で無意識に早く来てしまったらしい。

「あれ?」

部室前で鍵を取り出し着替えようとすると、ふと気付く。なんか、地面に貼ってあるんだけど。
紙には矢印と、こっちにこいと書いてある。普通なら無視をするべきだけど、どうしよう好奇心が疼く。鍵穴に差し込んだ鍵は一応外して矢印の方に向かう。進んで行けば左だとか右だとか中庭を抜けて行く。少し広めの広場に抜けた。ここから先は案内がない。キョロキョロと見渡せば向かい側の林から出てきた、仁王が。

「あ、おはよう仁王」
「フッフッフッ、幸村ぁ…のこのことここまで来て馬鹿じゃのぉ…。おぉ、おはよう」
「あの紙どうしたの?なんかあるの?」
「とりあえず後で説明するから覚悟おおおお!」
「え?」

拳をぐるぐると回転させながら此方に向かってくる。なんか後で説明してくれるらしいから俺も便乗するか。鞄を地面に置いて俺も同じように仁王に向かって走る。と、仁王が消えた。
ごめんちょっと展開早すぎて着いていけない。

「あ」
「仁王お前馬鹿か!なんでお前が落とし穴に落ちてんだよぃ!」
「幸村をこっちに設置するのに間違って俺が落とし穴側にいたんじゃ。めんご」
「つーか深っ!仁王どこまで深く穴掘ってんだよ!」
「調子乗りすぎた。ブンちゃんお助けー」

会話からして俺にはめる為の落とし穴に仁王が引っかかったのか。ブン太も出てきて仁王が消えた穴に叫ぶ。説明してくれる仁王が消えたから俺はブン太に今の状況を聞く。

「ちょっとブン太どういうこと?」
「あーもう赤也言っていいよ」

ブン太はため息を吐きながら言った時どこからか赤也の「はーい」という明るい声が聞こえる。パンッ パンッ パンッと幾つもの破裂音がして、空から紙吹雪が降ってきた。

「幸村部長誕生日おめでとうございます!」

周りの木を見上げればへへっと笑う赤也がいた。

「おめでとう幸村」
「幸村くんおめでとうございます」

次には真田と蓮二、柳生がホールケーキを持って出てくる。

「誕生日…。あー確かに俺今日誕生日だったかも」

木の上から飛び降りて嬉しそうに駆け寄ってくる赤也。案の定真田からは怒られて、ブン太は「幸村くんも人間だったんだな」とか言ってきた。どういう意味だゴラ。

「なんか、まあ、ありがとう」

そりゃあ嬉しいからお礼を言ったら皆も嬉しそうに笑うから、なんか、うん、やっぱこいつら最高。

「ちょ誰か助けてくれ」

あ、仁王ごめん。



幸村部長誕生日おめでとう!



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