謙也+白石


「白石のポケットには夢がいっぱいあるんや!」

太陽みたいな笑顔で言う金ちゃんは嬉しそうに俺を見上げて言う。

「夢て…。白石は魔法使いやあらへんのやし…」

苦笑しながら金ちゃんに言った後、よく見る魔法戦士の衣装を着た白石がステッキ持ってエクスタシー言ってるのを想像してしまった。きしょい。






「お前魔法使いなんやろ。俺が今欲しいもん当ててみ」
「頭打ったんか」

昨日金ちゃんが嬉しそうに言っていたのを思い出したのが今、ちょうど昼休み。目の前で黙々と日誌を書いてる男に聞いてみたら視線は日誌で、口はこっち。

「昨日金ちゃんが言うとった」
「なんて」
「白石のポケットには夢があるって」
「ぶはっ、なんやそれ」
「僕にも夢をください」

ほら と渡された消しゴム。あ、これ俺が探しとった消しゴムやんけ。前に聞いたら知らんって言っとったのに。

「俺の夢はもっときらきらしとる」
「そうなんや大変やな」
「棒読みやめろ」

白石のポケットには夢があるはずやのに。あ、もしかすると今白石のポケットにはたくさんの人の夢が詰まってるのかもしれへん。白石のズボンのポケットに手を突っ込めば、セクハラーと伸びた声を出した。夢、あ…なんかあった。見つけた飴ちゃんの包装紙を破って口に入れる。生暖かい。

「あ、それさっき床に落として踏んだやつや」
「しね」

やっぱ生暖かい。



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